草野絵美 働き方は関係ない。どこでも自分の個性を強みに生きていく【前編】

逆境ヒーロー!

2020/05/27
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夢中なことを評価されれば、人の心は救われる

――草野さんの経歴として興味深いのが、Satellite Youngとして活動する一方で広告会社に就職され、会社員になられたことです。理由は何だったのでしょう?

草野:大学在学中に起業したものの、失敗を経験したんです。起業に失敗したこともあって、子育てとアーティスト活動をしながら、個人でビジネスをする姿が想像できなかった。同時に「新卒で大企業を体験できるのは、今しかない」と思ったのが一番の理由ですね。でも、会社には年次という上下関係があって、何をやるにも許可や承認が必要。「新人はこれをやるべき」というような、非効率な暗黙の了解も多かった。それに、とにかく経費精算のような事務作業が苦手すぎて。もちろん、しっかり仕事をして、経済的に自立したいという気持ちも強くありました。それでも私は、みんなが当たり前にできることができない。その上、子どものお迎えを理由に18時で退社する新人も、会社員と並行してアーティスト活動をしているのも私だけ。マニュアル通りの指導ができず、上司も苦戦していましたね。

みんなが一生懸命、仕事をしているのに、私は役に立てない。申し訳ない気持ちでいっぱいでした。もちろん、私の得意分野を理解して、仕事を発注してくれる人とも巡り会えたし、広告制作というクリエイティブの現場を見ることができました。この経験は大きな財産です。でも、どうしても自分の居場所を見つけられない。悶々としていた時期に、会社の先輩から聞かれたんです。「この会社に、あなたのロールモデルはいるの?」って。答えは明確に「NO」でした。尊敬できる先輩の顔は浮かんでも、私が目指したいのは広告クリエイターではなく、自分の世界を表現するアーティストだったんです。少なからず「右に習え」が必要とされる会社員を経験したことで、改めて自分の進むべき道が鮮明になったんだと思います。

――そして会社を辞め、アーティストとして独立されたのですね。しかし辞める勇気を持てず、悶々とし続ける人も少なくありません。その勇気は、どこから沸いてきたのでしょうか?

草野:勇気でも何でもなく、私は自分が大切にしている価値観を守りたかった。ただ、それだけだったと思うんです。「右に習え」ができない私にとって、マイノリティであることは強み。それが大きな組織の新入社員という立場では、凸凹な能力が弱みに変わってしまいそうな気がしたんです。自分の強みを発揮できないって、誰にとっても苦しいことですよね。だから私は、その苦しさから脱するためにも、アーティストという生き方を選択したというか。ただ、そこで組織から独立するかどうかは、重要じゃない気がします。私は独立という選択をしましたが、会社に勤めながらだって自分の価値は守れるし、生かせるはず。もちろん、タイミングや組織の構造にもよるとは思いますが。

例えば、私の後輩がそうなんです。彼女も私と同じように会社になじめず、苦しんでいました。それが休日を利用して、彼女が得意なイベント企画を始めたところ、今ではメディアから取材を受けるくらい。その手腕が会社にも伝わり、仕事でも得意分野を生かしています。会社員である彼女とフリーランスの私。働き方の違う2人の共通点は、自分が夢中になれることから価値を生み出していること。その価値に対する評価がほんの少しでもあれば、人の心は救われます。その救いがないと、きっと、どこかで倒れてしまう。そう考えると自分自身の価値を知って、守って、その価値を資本に生きていくことが、大切なんだと思うんです。

後編では・・・

「右に習え」が必要とされる企業に属したことでマイノリティという自分の個性を再認識し、その個性を強みにアーティストとして独立された草野さんですが、息子を育てる母でもあります。そこで後編では、社会問題の一つでもある「育児と仕事の両立」にフォーカス。すると子どもを持つ親に限らず、現代社会を生きる全ての人へのヒントが見えてきました!

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