クロサカタツヤの「インターネットの歩き方2017」

思い出す言葉

2017/02/02
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メリル・ストリープは民進党的な立ち位置になっている

――お話を伺っていると、クロサカさんは、今のネットユーザーは現在の状況をうまくハンドリングできてないとお考えになっているように思います。 

クロサカ そうですね。全員、今の状況に戸惑っているんじゃないかなとは思いますね。それこそ、炎上マーケティングのある意味で大成功事例といえるドナルド・トランプさんさえ。彼なんて、炎上マーケティングで大統領になった歴史上初めての人でしょう。一番びっくりしているのは本人じゃないでしょうか(笑)。

ただ、アメリカ合衆国大統領、世界で一番権力を握っている人ですらそうだとしたら、他の人がうまくハンドリングできるはずもない。メリル・ストリープさんがスピーチでトランプさんを批判していましたが、彼女にしても理性的な人なわけです。理性的な批判がトランプさんに通用すると思っている。まるで、日本の民進党みたいな存在になっている。

――メリル・ストリープさんは民進党の立ち位置になっていると。 

クロサカ そう。トンチンカンなことも言うけど、真っ当なことも少なくない。でも、「私は大女優よ」という雰囲気が全面に感じられて、鼻につくという人たちもいる。そう感じる人たちからは、理性的な批判であればあるほど、「偉そうに」みたいな反感を買ってしまいますね。プロレス好きに向かって「あんなものは芝居だから下らない」という批判をするように見えてしまっているんじゃないかな。

あるいは、政治的な立場の違いが生じた前後で発言を比較され、昔の発言を引っ張られて、何今さら変節してるんだ、と突っ込まれる。本当は、変節しない人間というのは成長しない、または外部環境の変化に適応していない人間なわけですが、そうした捉えられ方はしない。いろんな人とのやり取りを繰り返す中で、変化していき、奥行きや厚みが増すのが人間なんですけどね。

今は、スライスされた断面だけを見て評価される時代になっている。それは、変節のプロセスを開示しないと受け入れてもらえない時代、とも言えます。でもそのプロセスを開示するための手段がまだ未成熟ですね。おそらく、SNS廃人のようにやりとりを四六時中繰り返していても、相手がそこまでヒマじゃない以上、なかなか理解してもらえないでしょう。だからこそ、われわれは丁寧に人を見ていく必要があると思うんです。

「言ってることが前と違うじゃねーか、バーカバーカ」じゃなくて「なんで変わったんだろう?」と想像する。一人ひとりを見ていくことが今ほど必要な時代はないと思います。でも、そんなこと無理だろうと罵倒されたりする。このシニシズム、冷笑的に物事を見る風潮は根深いですね。深刻です。

――そしてクロサカさんは、こうした状況をハンドリングする必要はないと考えてTwitterを去られたと。 

クロサカ 一言で言えば、時間の無駄だなと。いまは、TVも新聞もろくに見ていませんし、ネットにしてもTwitterはほぼ見ない。せいぜいFacebookで、自分が面白いと思った記事を読み、面白いと思ったことを言うだけで、それも忙しいときはできません。すごくシンプルな生活になっています。

自分に掛かる負荷は、すごく下がっていますね。ノイズが少ない分、仕事に集中もできるし、子育てと向き合うこともできる。以前は、いろいろな情報に振り回され、さいなまれることもありましたから、いろんな意味でラクな暮らしです。まあ、たまに「これでいいのか?」って思うこともなくはないですけどね。本来、こうした両極端な2択しかないのが正解なのか。すごく雑多でノイズの多い環境か、森の静寂のような環境か。もうちょっとボリュームゾーンがあっていいんじゃないかと。

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