工藤瑞穂/『soar』編集長 「一人じゃどうにもならない」を覆したのは、小さな成功の積み重ね【前編】

逆境ヒーロー!

2020/01/21
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成功の裏には、逆境が隠されている。そんな逆境をはねのけ活躍する“インディペンデントな人たち”の成功の秘訣に迫る『逆境ヒーロー!』。今回は、社会的マイノリティの人たちにスポットを当てたウェブメディア『soar』の発起人であり、編集長を務める工藤瑞穂さんが登場。工藤さんは以前の勤務先での自分を振り返り、“居場所のない異端児”だったと語ります。そうした工藤さんは、いかにしてsoarの立ち上げに至ったのか。その歩みをヒモ解くと、けっして数の力ではない、一人の人間が持つ力の大きさが見えてきます!

工藤瑞穂(くどう・みずほ)
1984年、青森県出身。日本赤十字社の宮城県・仙台支部に勤務中、東日本大震災を経験。赤十字社への勤務を続けながら、復興支援のためのチャリティイベントを数多く手掛ける。2015年に日本赤十字社を退職し、同年12月より社会的マイノリティの人々にスポットを当てたウェブメディア『soar』を開設。2017年には法人化し、イベント開催やリサーチプロジェクトをはじめ、“全ての人が自分の可能性を活かして生きる未来”を創造するためのアプローチを行う。

『soar』は生きづらさを情報で支援するメディア

――工藤さんが編集長を務めるウェブメディア、soar。まずはどのようなメディアなのか、改めて聞かせてください。

工藤瑞穂(以下、工藤):soarを一言で表すなら、“人の可能性が広がる瞬間を捉え、伝えるメディア”です。なかでも社会的マイノリティと呼ばれる人たちにスポットを当てていますが、一般的には福祉や医療、NPOによる支援って、対面であることがほとんどですよね。そうしたなかでsoarは、インターネットを通してサポートを届けるのが役割です。障害や病気などの困難があったり、LGBTや外国人など、人との違いがある方たちには、生きづらさを感じている人が少なくありません。世の中のあらゆる要因によって、自分が持っている本来の可能性にフタをされてしまっているんです。

その一方で閉ざされたフタを開けようと、さまざまな活動をしている人たちがいます。そうした活動をする人たちを見つけ、伝えていくのがsoar。支援団体の皆さんは現場に忙しく、なかなか情報発信が難しいんです。そのために今、確かに存在しているのに、存在を必要としている人たちに気づかれていないことが多くあります。こうしたサポートの存在を目に見える形で紹介し、届けていこう。生きづらさがある人たちを情報でサポートし、困ったときにsoarを見れば、必ず助けが見つかるメディアにしよう、と。

仕事場とプライベートでは別人格だった私

――工藤さんはご自身の「note」に「職場で異端児だった過去」を綴られていますが、異端児とは、いわばマイノリティ。当時の工藤さんも、生きづらさを感じていたのでしょうか?

工藤:そうですね。率直に言えば、“孤独”を感じていました。以前は日本赤十字社に勤めていて、就職を決めた理由は組織の理念。「人間を救うのは、人間である」という赤十字の理念に、感銘を受けたんです。私は幼いころから野口英世に憧れていて、将来の夢は、苦しむ人の助けになること。漠然と抱いていた夢が、赤十字の理念と一致したんです。

でも、仕事にやりがいがあることと、その組織と人に馴染めるかは別で。職場の人にはなかなか心を開けず、自分らしくいることができませんでした。私自身もプライベートの話は一切しなかったし、みんなのちょっとした日常会話についていけなかったんです。今でこそ、ドラマを観るのも料理をするのも大好き。でも、当時はそういった話題に無関心だったので、趣味や関心が合わず、適当に取り繕うこともできなくて。指示された仕事だけを淡々とこなして、本番は職場から解放される17時以降。平野啓一郎さんが『私とは何か――「個人」から「分人」へ』で提唱されていた、分人主義そのままでしたね。職場とプライベートでは、人格が全く別という(笑)。

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