古坂大魔王「聴く力」が成功に導く。必要なのは人への「愛」【後編】

失敗ヒーロー!

2019/12/18
Pocket

華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。前編に引き続き、ピコ太郎のプロデューサーとしても知られるお笑い芸人、古坂大魔王さんが登場。現在はお笑いや音楽活動にとどまらず、討論番組の司会やビジネスをテーマとした講演会も務める古坂さん。その含蓄ある言葉に隠されたマインドセットをヒモ解くと共に、世界的ヒットを飛ばしたピコ太郎の誕生秘話やヒットを支えた“愛の力”にも迫ります!

ピコ太郎の原点は“ライブハウスで見たおじさん”

――前編でお話しいただいた、下積み期間の長い思考の末に生まれたピコ太郎。しかし古坂さん自身が歌い手となるのではなく、プロデュースという方法を選んだのは、なぜだったのでしょう?

古坂大魔王(こさか・だいまおう)
1973年7月17日生まれ、青森県出身。1991年にお笑いトリオ「底ぬけAIR-LINE」としてデビュー。現在はバラエティ番組への出演のほか、mihimaruGT、AAA、SCANDALなどとのコラボや楽曲提供も行う。『PPAP』が世界的なヒットとなったシンガーソングライター・ピコ太郎のプロデューサーとして広く知られ、2019年1月には、ピコ太郎誕生までの秘話を多角的に記した『ピコ太郎のつくりかた』を上梓。10週連続でYouTubeにアップした「PIKO 10 PROJECT」が配信中!

古坂大魔王(以下、古坂):それこそ、いかにも下積みらしいエピソードに理由があります。音楽ユニットとして立ち上げたNO BOTTOM!の活動として、ライブハウス行脚をしていたんですね。芸人としての仕事もないから、全国をドサ回りみたいな(笑)。どこも小さなライブハウスで、出演者も素人ばかり。ただ、これが面白い。面白いってファニーじゃなくて、インタレスティングですよ。こういう素人ミュージシャンばかりのライブって、お笑いの観点からすると非常に興味深い。

例えば、ギターとリズムマシンだけでロックを歌う、還暦過ぎのおじさん。恐らくライブハウスのPA(音のバランスを取るためのミキサー担当者)さんが、地元の後輩なんでしょうね。めちゃくちゃ偉そうに指示を出したかと思うと、愛を料理に例えたオリジナル曲を熱唱するんですよ。あまりにクレイジーで、「これだ!」と思いましたね。でも、どんなに芸達者な人間が彼の模写をしたところで、絶対に面白くならない。本物には勝てないんですよ。だから、僕がやっても意味がない。そこでピコ太郎という千葉県出身のおじさんを見つけ出し、プロデュースという手法を取ったわけです(笑)。

お笑いでもビジネスでも、おしゃべり上手は聞き上手

――なるほど、そういう経緯だったのですね(笑)。しかし千葉県出身のおじさんが、世界的な大ヒット。改めて、ヒットの理由は何だったと分析されますか?

古坂:これはもう、分析しようがありません。お話しした通り、ピコ太郎は長い思考の結晶です。音楽の知識もテクニックも、コミックバンド的な発想も、下積み期間の思考をすべて彼に詰め込みました。それだけに勝算はあったし、勝算があったからこそ、芸人やタレントの友人に「この日にピコ太郎の『PPAP』という曲をアップするから、SNSで拡散してくれ」と頼みました。こんなお願いをしたのは、初めてのことです。ただ、そこからジャスティン・ビーバーに拡散されるなんて、誰が予想できます?

いや、プロモーションと割り切って、海外セレブに1000億円を支払えば、あり得る話かもしれない。でも、ウガンダに住む市場のおばさんがパイナップルを指して「Hey you!」って光景は、想像しようがない。となると説明がつかないし、説明しようとすれば、それは愛しかないと思っています。僕を育ててくれた家族の愛であり、下積み時代から応援してくれるファンの愛であり、芸人であることを後押ししてくれた戦友の愛であり、拡散に協力してくれた仲間の愛であり、制作からPRまで一緒に駆け抜けてくれたチームの愛ですよ。

――愛の力については古坂さんの著書『ピコ太郎のつくりかた』にも書かれていますね。そこでチームの愛について聞かせてください。古坂さんの言う“愛あるチーム”とは、どのようなチームなのでしょう?

古坂:一緒に物事を進める皆が皆、人の話を聞くことのできるチームです。僕はお笑い芸人として、ピコ太郎のプロデューサーとして、いろいろな企画やプロジェクトに携わってきたし、最近では討論番組の司会を務めることもありますが、とにかくペラペラと言葉が出てくる人と、その場の納得を得られる提案をする人では、まるで違います。僕の経験上、人の話を聞かずにプレゼン上手な人って、絶対にいないんですよ。

「おしゃべり上手は聞き上手」ってね、お笑いの世界では定説で、これはビジネスの世界でも同じだと思います。相手の意見に耳を貸さず、ひたすら自分の言いたいことをしゃべっている人は、単なるおしゃべり。けっして、“おしゃべり上手”じゃありません。一方でおしゃべり上手な人は、しっかりと相手の話を聞きます。しっかり聞いて、咀嚼したうえで言葉を返すから、円滑で建設的な会話が成り立つわけじゃないですか。

マネたまご マネたまをフォローすれば最新記事をお届けします!
運営会社 | Copyright © kaonavi, inc. All Rights Reserved.