北野唯我/『転職の思考法』作者 働く人に応援ソングを。「憤り」が生んだ、僕の働く理由【前編】

逆境ヒーロー!

2019/11/12
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成功の裏には、逆境が隠されている。そんな逆境をはねのけ活躍する“インディペンデントな人たち”の成功の秘訣に迫る、『逆境ヒーロー!』。今回は、物語形式で綴られた異例の転職本『転職の思考法』と『天才を殺す凡人』で大ヒットを飛ばし、名を成した北野唯我さんが登場。「逆境こそ成長の糧」と語る北野さんのビジネスマインドの原点とは?

「自分らしく生きられない」という苦しみから目を背けられなかった

――『転職の思考法』は15万部超えですよね。本を拝読してから北野さんの年齢がお若いことを知って驚きました。

北野唯我(きたの ゆいが)
1987年生まれ、兵庫県出身。神戸大学卒業後、博報堂に入社。退社後、アメリカに留学。ボストンコンサルティンググループを経て、28歳の時に株式会社ワンキャリア最高戦略責任者に。『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が15万部超え、30万PVを獲得した人気ブログをベースに作成された『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)も9.5万部を突破。2019年中に2冊の新刊を刊行予定。

北野唯我(以下、北野):『転職の思考法』を読んだ読者からは、「丸くて優しいおじさんが書いたと思っていたのに、細身の若者で、想像と全く逆だね」という反応が多いですね(笑)。

――(笑)。順風満帆に見えますが、「逆境」と聞いて何を思い浮かべますか?

北野:逆境ばかりだったと思います。新卒で入社した会社を辞めてアメリカに行った時も、全く英語が話せない状態で。アメリカでは、英語が話せなければ人じゃないような扱いを受ける場合もある。でも、そういう逆境があってこそ人は成長するといつも思っています。

――そもそも、新卒で大手の広告代理店に入社されていますが、なぜ退職されたのでしょう?

北野:理由を一言で言えば、生きている感覚がしなくなったから。大学生の頃まで、いつ死んでも後悔しないという感覚があったのに、社会人4年目になって、今死んだら後悔するだろうなと感じてきたんです。なんでもない平日の夜に電車で帰っていたら、涙がぽろっと出てきて。生きている感覚がなく、これは辞めたほうがいいと思いました。

――それはうつ状態のようにも感じますが…。長時間労働などされていたりはしましたか?

北野:いえ、そういうことよりも、自分が大切にしてきた生き方と、当時の自分にギャップがあったからだと思います。自分が納得できるような美しいものを作れていない。僕は小さい頃から、ゲームや音楽を作り、人をワクワクさせるのが好きでした。常に挑戦者であり続けたかったし、このまま生きていても後悔するなと思ったんですね。

それに、今日は19時に帰れそうだなと思っていたのに、上司の都合で22時まで残業になったり、しょっちゅう予定が狂う。僕はそういうのが嫌でした。よく聞く話だし、なんとか折り合いをつけている人がほとんどだと思います。でも僕は不器用で、人生の大事な部分が切り取られたような感覚を我慢できなかったんですよね。

襲ってくる不安を論破し続けた日々

――目を背けられなかったと。でも、そこから退職するまで葛藤はなかったですか?

北野:辞めるまでは眠れない日々が続きました。朝の2時、3時まで眠れず、4時に起きてしまう。起きた時、目の前に暗闇というか絶望が広がっていました。「辞めて本当に大丈夫なのか」「食べていけるのか」という不安。そこで、僕はその不安を要素に分解して論破するということを毎日やっていました。

――具体的に、どのようにですか?

北野:まず、退職してもお金は大丈夫なのか何回もシミュレーションして、1年半は保つからクリア、と。次に、結婚はできるのか。当時付き合っていた彼女や友人に連絡をとり、会社を辞めることを伝えたら、「唯我らしくていいんじゃない?」と返ってきました。その時気づいたのは、結局、友達でいてくれる人や、僕を好きでいてくれる人は、僕が次に何をしでかすかわからないところを面白がってくれている。だったら、肩書きがなくなっても、世界に1人は結婚してくれる人がいるだろうと、これもクリア(笑)。次に家族は納得してくれるのか?といったように、1ヶ月くらいかけて、疑問を投げかけては論破していったんです。布団の中で(笑)。

――ご家族はどんな反応でしたか?

北野:実家に電話をかけた時のことはよく覚えてますね。もともと第一志望の会社だったのを母も父も知っているので、まず一言「残念だ」と言われました。でも母は、「何ができるかわからないけど、仮に失敗してもご飯くらいは作れるから」と言ってくれて。帰れる場所がある、味方がいるということは、挑戦する上で支えになるものなのだなと改めて思いました。だから、今経営者として働くなかで、「誰かにとって帰れる場所を作りたい」という気持ちはとても強い気がします。

――いいお母さんですね。でも、もう少し続けていれば、心境や環境も変わってくるんじゃないか、という声もあったのでは?

北野:ありましたね。でも決めたら絶対実行したいタイプでしたし、この会社にいたとしても、自分を成長させてくれるような逆境はないなと思ったんです。ここにいれば給料は高いし安定していることはわかっていました。でも、それを求めてはいないし、常に挑戦していたい気持ちが昔からあったんですね。

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