【後編】ナイジェリア・サッカー五輪代表を支援した男は”決戦の地・リオ”で何を食べたのか?

これが、勝負メシ。

2016/10/28
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違いを作るだけでは「ブランド」の意味はない


――貴社はブランドを経営や組織の観点から捉えてコンサルティングをなさっているということですが、こうした観点について詳しく教えてください。
 
加藤 ブランドという言葉の起源をご存知ですか? もともとは、商品や家畜に押す「焼印」という意味なんですよ。他のものと区別されるために入れるものが、ブランド。「うちの家畜と、あなたの家畜は違いますよ」という意味です。高級ブランド云々と言われますが、もともとの意味合いはそういうことです。
 
ただ、企業経営においては単に違いをつけただけでは意味がありません。だって、他と違っていても嫌われてしまっては仕方ないですからね。ブランディングというのは、「自分たちが好かれたい人から、ちゃんと好かれる価値を出し続けること」だと思っています。その状態を実現するためには、商品を作る人だけが頑張ったり、広告宣伝をする人だけがイメージを作ったりするだけではダメです。
 
――中にいる1人1人が、自分たちのブランド・理念をしっかり認識して行動に落とし込むことが必要なんですね。
 
加藤 そうです。これはスポーツチームも全く一緒ですね。自分たちの存在理由は何なのか? 例えば「地域に貢献します」はどこも言っていること。貢献って具体的に何なのか、差別化できるポイントはどこなのか。お客さんにどんな価値を届けるのか、そのためにはどんなチームであるべきか、選手はどういう振る舞いをせねばならないか、常に考える必要があります。
 
フロントの情報発信にしても、すべてブランドに紐付いていきます。自分たちがどういう違いを出して、どういう価値を、自分たちが好かれたい人たちに届けるか。この考えに基づいて経営を進めていくこと。これがブランディングだと考えています。
 
カンボジアンタイガーFCでいうと、僕は選手たちに「君たちの一番大事なことは、カンボジア国民に夢と希望と勇気を与えることだ」と言っています。もちろん、こういうことは継続して言い続けないといけません。最初はただ単純にずっとサッカーをやってご飯食べられればラッキー、ぐらいの選手もいますから。チームの存在理由、なんのためにサッカーをやっているのか、選手に対してそういう意識付けをするのはこのチームにおける僕のミッションですね。僕も含めてまだまだ進化しなければなりません。
 
――伺っていると、ブランドコンサルティングの考え方はスポーツチーム運営にも非常にマッチするんですね。
 
加藤 ただ、コンサルビジネスと実際の企業経営はやっぱり違いますけどね。コンサルは確率論ですから。事前に情報収集・リサーチして、成功する確率の高い戦略を立案し、遂行の支援をする。だけどこういう小さな会社のベンチャーだと、とにかく試して検証して「やっぱりこっちにしよう」と戦略を決めていくやり方です。コンサルみたいに超細かくリサーチして考えて「こうだ」と思ってやっても、全然結果が違ったということは多いんです。

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地域に、国に、何ができるか?


――貴社の今後のビジョンを教えてください。

加藤 スポーツ事業部は「メッシ超え、バルサ超え」というミッションを元に、10年以内にアジアとアフリカで計6チームを持ちたいと思っています。日本、カンボジア、ナイジェリア、タイ、インドネシア、それからガーナあたりでしょうか。
 
まずはそれぞれの国でナンバーワンになること。カンボジアンタイガーFCはカンボジアで、イガンムFCはナイジェリアで。そしてイガンムFCはいち早くヨーロッパのトップリーグに選手を移籍させること。ただ、カンボジアにせよナイジェリアにせよ今投資してもすぐに見合ったリターンはありません。国の経済が上がり中間層が分厚くなってこないと、サッカー単体で収益はあがりにくい。そこは、長い目で見ようと思っています。

本業のブランドコンサルティングについては、あと3年で年商10億円に到達すること。そうすると3~4億円の利益が出ますから、そこをサッカー以外の新事業に再投資します。スケールするような事業にチャレンジし、伸ばしていくようなモデルを作りたいですね。
 
サッカーチームに関しては、カンボジアンタイガーFCはまずはシェムリアップへの移転。向こうで人気を作り、シェムリアップの人々から「ずっと居てほしい」という状況を向こう1年で作ります。これは、手応えがあります。現時点でもかなりの引きがあるので。そうしたら、各所で交渉力が生まれます。収益力を高めることと、同時にカンボジア北部の人たちに夢と希望を与えることをやっていきます。
  
ナイジェリアに関しては、ダイヤの原石がゴロゴロしているので。身体能力が、DNAレベルでものすごいんです。だけど現状、磨く環境がありません。指導者やグラウンドといった意味ですね。私たちはいま、土地を購入し、選手寮と人工芝を作り、そこで選手を集めて育てて移籍させる。そういうことをやっています。
 
私たちのクラブがスラムにあるということで「大丈夫か」という話はもらいますが、少なくとも彼ら選手に聞くとドラッグや犯罪について「絶対にやりません。なけなしのお金を親に出してもらって、サッカーをやっているんです」と言います。サッカー選手になるために、それ以外の何もかもを捨てているんです。そんな選手たちが、悪いことに手を出すはずがないんですよね。
 
いま、ナイジェリア国内の人口は1.8億人です。うち、サッカーをプレーしている人口は2,000万人と言われています。ものすごい割合ですよね。僕らのやっている活動というのは、そういう層に夢を与えるだけでなく、間接的に犯罪やドラッグの抑止にもつながるようなことをしていると思っています。いまチームに協賛してくださる方は、そういう部分にも賛同してくれています。

先ほども言いましたが、ただ単にサッカーをやるというのではなく、地域に、その国に対してどういうことができるのか? 自分たちの存在理由をしっかり考えてチーム運営を行なっていきたいですね。

――熱いお話をありがとうございました!

<了>

インタビュー・テキスト:田中千晴 撮影:澤山大輔 編集:マネたま編集部

【前編】ナイジェリア・サッカー五輪代表を支援した男は”決戦の地・リオ”で何を食べたのか?
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