【前編】ナイジェリア・サッカー五輪代表を支援した男は”決戦の地・リオ”で何を食べたのか?
これが、勝負メシ。

気を配らなくてはいけないのは「支援金を渡した後も、全員がWIN-WINになれるか」ということでした
ビッグディールを締結したり、決算日の夜をギリギリ乗り切ったり、ナイジェリア代表に支援金を渡したり……世のマネジメントには「絶対に負けられない戦い」があるものです。だったら、絶対に忘れられない思い出も、それを彩った勝負メシもあるんじゃないか……!?
そんな想いのもと始めるのが、新企画「これが、勝負メシ。」。第一回目のゲストは、株式会社フォワード代表取締役社長の加藤明拓(かとう・あきひろ)さんです。
加藤さんは先日行なわれたリオデジャネイロ・オリンピックで高須クリニックの院長・高須克弥氏をエスコートし、ナイジェリア・サッカー五輪代表チームへの金銭支援をヘルプした方です。そんな加藤さんは、‟決戦の地・リオ”で何を食べていたのでしょうか?
前編では、“勝負メシ”にまつわるエピソードとあの出来事の裏側を伺いました!
支援活動が終わった翌朝に
――本企画は、『勝負メシ』をテーマにした連載企画となりますので、インタビューさせていただく方に「『勝負メシ』のお写真ありますか?」と伺っています。加藤さんからは事前にこんなお写真をいただきました(笑)。
――パワーがみなぎっていますね! この写真は、いつ撮影されたものですか?
加藤明拓(以下、加藤) これは、リオ・オリンピックで銅メダルを獲得したサッカーナイジェリア代表の支援をお手伝いさせていただいた際、交渉が終わった翌朝にリオで食べたものですね。
リオに1泊5日という強行日程で臨んで、試合当日の朝に現地入りしました。その日は本当にいろいろなことがあって、ホテルに到着したのは21時半ぐらいでした。翌朝、高須さん(高須克弥氏、高須クリニック院長)はあまり体調がよくなかったので、僕とスタッフだけで「せっかくだからリオの街中に行こう」とタクシーを飛ばしました。ほとんどの店は日曜だから閉まっていたんですが、このお店だけ運良く開いていたんです。ポルトガル語はできないので、グーグル翻訳アプリを使って「何かおすすめはありますか」と聞いて出てきたのがこれです。
――このメニューは、肉とフライドポテトですか?
加藤 肉にポテト、卵焼き、白米。ポテトと白米、炭水化物かぶっているじゃないかと思うんですが(笑)。あとはフェジョンという豆のスープですね。食べ方はよくわからなかったので、肉とかご飯とかに掛けて食べました。
――お味はいかがでした?
加藤 いやー、めちゃくちゃ美味かったですね! 最高でした。
――ナイジェリア代表への支援活動が終わり、ほっとしたタイミングということもあって感慨ひとしおだったんじゃないでしょうか。
加藤 そうですね。もう大変で、いろいろなことがありすぎて(笑)。もうこの日には日本に帰らなきゃいけなかったので、現地のものを食べられてよかったです。
株式会社フォワード代表取締役社長。千葉県八千代高校出身、同高にてインターハイ優勝を経験。明治大学卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。組織人事領域のコンサルティング業務、スポーツコンサルティング事業部立ち上げ、ブランドコンサルティング事業部長を経て2014年に同社設立。
2015年にカンボジアのプロサッカークラブを買収・オーナーに就任、2016年にナイジェリアのプロサッカークラブに出資し、共同オーナーに就任。
全員がWIN-WINになることに注力した
――勝負メシから話を敷衍させまして、ソーシャルメディア上でも大いに話題になった、高須院長のリオ五輪・サッカーナイジェリア代表に対する金銭支援についてお聞かせください。本件は、高須院長に加藤さんがリプライを送ったことがきっかけだそうですね。
加藤 そうですね。あの時点で、僕はカンボジアにいたんです。たまたまTwitterを見ていたら、高須院長がナイジェリア代表への支援を申し出ているのを発見して。
本当に気の毒だ。僕がサポーターとして全部金銭的な面倒みるから頑張ってほしい。メダルとったらさらにボーナスだす。僕の申し出は受けとれないシステムなんだろうか?誰か彼らと連絡取れる人はいないか?僕はナイジェリアの不屈の精神が大好きなん https://t.co/SUhH9oIDkX
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2016年8月12日
最初に思ったのは、「この人は本気かな」ということでした。もし本気なら、僕もネットワークがあるので絶対に繋げられます。といっても、その日僕はチームのホームゲームでカンボジアにいて、ナイジェリア五輪代表の試合も同じ日に行なわれる予定でした。もしナイジェリア代表がボイコットするという話なら、「これはスピード勝負になる」と思ってこうリプライしました。
@katsuyatakasu @livedoornews 僕はナイジェリアでクラブ持ってるので、シアシア監督と直接連絡を多分取れます。本気なら連絡頂ければ幸いです。
シアシア監督のサラリーもおおよそわかるので、全体でいくらくらいになるかも大体予想つきます。— 加藤明拓(プロクラブ オーナー) (@Forward_kato) 2016年8月13日
――ものすごく行動が早いですね……! 一連の支援活動で最も不安だったことはどういうことですか?
加藤 一番気を使ったのは、視界と時間感覚の調整ですね。
――視界と、時間感覚ですか。
加藤 まず、高須さんは「選手がかわいそう、だから選手に直接お金をあげたい」と仰っていました。高須さんからすれば、とにかく選手にお金が回ればいいわけです。だけど、僕自身は今後もナイジェリアに長く関わる立場のため、長い視点で見ます。なので、お金をあげた後に選手・監督とナイジェリアサッカー連盟やその他のステークホルダーとの関係が悪化するようなことにはしたくないと思っていました。
例えばサッカー日本代表には沢山のスポンサーがついていますが、この話は仮に日本サッカー協会が監督へ給与の未払いを続けていたとして、オフィシャルスポンサーではない会社が「肩代わりします!」と言って話題も好感度もさらっていった、みたいな話です。日本では到底起こり得ないことですし、ナイジェリアサッカー連盟やスポーツ省(及びそのオフィシャルスポンサー)としても本来は認められる話ではない。でも日本の皆さんは「選手がかわいそう、ナイジェリアサッカー連盟は悪だ」って解釈をされる。まあ実際未払いだから悪いんですけど(笑)
――なるほど、わかりやすいです(笑)。
加藤 なので、気を配らなくてはいけないのは「支援金を渡した後も、全員がWIN-WINになれるか」ということでした。ここにはすごく気を使いましたし、骨の折れる作業でした。ナイジェリアは、すごくメンツを大事にする社会です。あらゆる方面の顔を立てないといけない。我々のイガンムFCも、ナイジェリアサッカー協会の傘下にあるわけなので。ちゃんとしたルートでお金を渡して、トラブルが起こらないようにしたい。結果的には、失敗しているんですけどね。泥沼化していますし。でも個人的な見解ですが、この件については、五輪代表監督のシアシアが悪いと思っています。

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