加藤一二三 ハプニングこそ人生!だから仕事は断らない【後編】

失敗ヒーロー!

2019/11/20
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良心を信じているから、どんな人とも仕事ができる

――それは不思議なお話ですね。しかし将棋に関わる仕事にとどまらず、引退後の活躍ぶりは本当に多彩です。

加藤:僕はね、いただいたお仕事は、基本的に断らないの。これまでにお断りした仕事は、一つだけです。60名のオーケストラをバックに『オー・ソレ・ミオ』を歌うという企画でしたけれど、これは身の丈に合いません。自信が持てなくては最大限の力が発揮できませんから、唯一、お断りしました。自信が持てることなら、どんな仕事でも引き受けていますが、その理由は人の良心を信じているからです。

世の中には、いろいろな人がいますね。善人もいれば悪人もいますし、宗教や思想、支持政党だって十人十色です。けれども僕は、良心を信じています。「人の良心を信じなさい」とは、かつてローマ教皇を務められた聖ヨハネ23世の言葉ですが、この言葉があるから、どのような人とも仕事ができます。この言葉がなければ、引退後にどんな仕事をすべきなのか、迷ったと思いますよ。歌手デビューもドラマデビューも、なかったかもしれない。

――その言葉は、いかなる仕事をする上でも大切なメッセージですね。人を信じる気持ちがなければ、チームワークも機能しません。

加藤:旧約聖書を読んでみるといいですね。旧約聖書には、本当にいろいろな人物が登場します。いろいろな人物が登場し、いろいろな人間模様が書かれていますから、これを読むと生きる術を学べます。硬派な番組も手掛けられたアナウンサーの鈴木健二さんは、「日本の経営者の多くは旧約聖書を読んでいます」と言っていました。旧約聖書には戦いに勝つ秘訣も書かれていますから、経営者の方たちも僕と同じように、聖書から挑戦する意欲や術を得たと思います。

生涯現役宣言!人生は挑戦の連続だ

――お聞きしたかったのが、まさに挑戦です。加藤さんは引退後にもさまざまなことに挑戦され、「生涯現役宣言」もされていますが、最後に恐れずチャレンジするための秘訣を教えてください。

加藤:「私たちの生涯は巡礼であり、旅である」。私の場合、フランシスコ教皇のこの言葉を信じることが、チャレンジできる秘訣のように思います。巡礼にしても旅にしても、向かう先では何が起こるか分かりません。何が起こるか分からないから準備をしますし、準備があればこそ、突然のハプニングも楽しめます。

これを僕の生涯に置き換えてみても、非常にしっくりきますね。僕のなかには長い人生で得たことが、大きな心構えとして存在しています。それは「直感精読」であったり、「良心を信じる」であったり、いろいろです。こうした心構えがあれば、何も怖がることはありません。旅のハプニングのように、新しい仕事の依頼も楽しめるわけです。

――「生涯は巡礼であり、旅である」。一日一日を旅だと思うと、確かに新たな挑戦も楽しめそうです。

加藤:楽しめますし、面白いのが僕の息子ですよ。というのも僕の息子は転職をして、電機メーカーに勤めています。今はその会社で部長をしていますけれど、転職のきっかけが、まさにハプニングです。彼は転職活動中、「この会社だ」と思ったところに面接に行ったものの、何か手違いがあったのでしょう。思っていたのとは、別の会社を訪れていたというの。それにもかかわらず、「あなたの経歴は、うちの会社にぴったりだ」と、転職が決まってしまったんですって(笑)。

転職というのも挑戦ですし、転属や転勤だって、一つの挑戦だと思います。慣れない環境に挑むのだから怖いのもわかりますけれど、そうした時に支えになるのが、4つの心構えです。「勇気を持つ」「弱気を出さない」「慌てない」「落ち着く」ですね。これは旧約聖書から学んだ戦いの心得ですが、誰にでも通じます。この4つを心に留めれば、挑戦するあなたの姿を堂々と見せ、勝機や転機を呼び寄せられるはずですよ。

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