2017/03/28 公開

50歳、プロサッカー選手。三浦知良に学ぶセルフマネジメント

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制作の経緯

――本書は、日本サッカー史に残る存在である三浦知良選手の、50歳を記念したフォトブックです。どういう経緯で制作されたのですか?
 
岩本義弘(以下、岩本) 最初は「写真集を」というより「カズさんの本を出したい」という思いがあったんです。それが具体化したのは、2014年12月のグアムキャンプ。その年、カズさんはあまり良い成績でなくて「12月と翌1月の2回に分けてキャンプをしよう」ということになったんです。ただ、12月はメディアがあまり取材に来ない時期なんですね。各クラブがキャンプをやっているわけではなく、時期的にキャンプ報道の時期でもありません。カズさんにしてみれば落ち着いてトレーニングでき、1年間酷使した身体をメンテナンスし、次に向けて身体をキープする最適の時期です。

その時期に取材できたことで、トレーニング以外にも3食をカズさんを含めたチームKAZUのスタッフの皆さんと共有させていただいて。4~5人で食卓を囲みながらいろいろな話をして、カズさんとの距離を縮めることができました。

ただ、マネージャーさんに本の出版を提案をすると「自伝という形ではダメ」と。カズさんは文藝春秋さんのNumberさんと繋がりが深いですから、出すなら文藝春秋さんだと。だから「自伝ではない形なら大丈夫ですか?」という交渉をしました。

契約を新たに2年延長し、50歳までプレーすることが決まっていたタイミングでした。「なら、50歳の記念に写真集を出そう」という運びになり、マネージャーさんと定期的にやり取りを開始させていただき、2016年夏に許可をもらって正式に出版が決まりました。

本書のポイントとしては、一人のカメラマンさんの作品ではないことです。カズさんは多くのカメラマンにとって思い入れが非常に強い被写体。そんなカズさんの写真について、それぞれのカメラマンの“とっておき”を選んでもらい、そこにカズさんのメッセージを入れたら面白いのではないかと。これまで、こんな形で写真集を出した人はいないと思います。この本は、1人のサッカー選手のフォトブックであるとはいえ、実は誰もが参考にできる「生きるヒント」が隠されている本だと思います。

――私はカズさんが日本代表で活躍されていた頃を知る世代ですが、本当にいろいろ参考になりました。

岩本 何がすごいかって、この全部が1人のサッカー選手の人生だってことですよね。現役生活35年。プロサッカー選手の平均寿命はとても短くて26歳前後と言われていますから、それを考えると5倍から10倍以上のキャリアを生きていると言っていい。とんでもないことです。

――ブラジル時代、ヴェルディ川崎時代、ドーハの悲劇、イタリア時代、クロアチア時代、フランスW杯のメンバー落ち、クロアチアでのプレー、京都でのゼロ円提示、ヴィッセル神戸時代、そして横浜FCで10年以上……これ全部1人のサッカー選手なんですよね。

岩本 特にいまの30代以下の世代にとって、カズさんは物心がつく頃から活躍している、日本のサッカー文化そのもの。真のパイオニアであり、二度と現れない存在です。カズさんよりうまい選手はたくさんいるけど、三浦知良は二度と現れない。だからこそ、サッカーファンだけでなく誰もが読んで刺さるような作りにしたかったんです。ものすごくギリギリのスケジュールの中、素晴らしい仕事をしていただいた関係者の皆さんに深く感謝しています。

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出版後の反響

――日本のサッカー書籍の歴史の中でも、重要な一冊になると思います。出版後、どんな反響がありましたか?

岩本 本書の内容もさることながら、「カズさんと仕事をすること」自体の反響がすごかったですね。発売日の前日・川崎フロンターレの中村憲剛選手(元日本代表)に手渡したら、「これホントにもらっていいんですか、ツイートしていいですか!」って大喜びしてくださいました。

中村選手はこのツイートをする前にカズさんに連絡して「これ告知していいですか」って連絡してくれたみたいで。さらに、タレントの武井壮さんもTwitterで熱く紹介してくださいました。武井さんも、プロに対するリスペクトがものすごい方です。

売り上げ面でも、発売翌日に1万部重版が決まり、東邦出版では史上初となる記録が出ています。

――三浦知良選手の存在の大きさを改めて認識します。

岩本 この本を作っていて本当にすごいなと思ったのは、15年前と今とでカズさんが言っていることが全く変わらないことなんですよね。今回はグアムで6回、計2時間インタビューさせていただきました。その前に、できるかぎりインプットをして臨みたいと思って過去のインタビューを読みあさったんです。そうしたら2000年、京都からゼロ円提示を受けた際のインタビューで、「先のことを考えずに1日、1日を生きる」ということをどの媒体でも仰ってたんです。これ、グアムキャンプでも全く同じことを仰ってました。

――当時、すでに三浦選手は34歳。ベテランの域に入っていました。

岩本 まさかその頃から15年以上もプレーしているなんて思わないですよね(笑)。ずっと、ブレずに同じことを言い続けているんですね。その感覚で毎日毎日生きている。それが何よりすごいです。

もちろんカズさんは、衰えを感じているはずなんです。ピークの頃から。その感覚と毎日毎日戦い続けている。ちょっと想像を絶しますよね。

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