石井リナ/ BLAST Inc. ゴールは決めない。想像できなかった自分になるほうが面白い【後編】

逆境ヒーロー!

2019/07/17
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成功の裏には、逆境が隠されている。そんな逆境をはねのけ活躍する“インディペンデントな人たち”の成功の秘訣に迫る『逆境ヒーロー!』。前編に引き続き、女性向けのエンパワーメントメディア『BLAST』の運営や、ミレニアル世代・フェミニズムについての連載などで活躍中の石井リナさんが登場。自身のビジネスを通じて社会をどう変えていきたいのか、ミレニアル世代ならではのグローバルな視点に迫ります。

“思想でつながるメディア”。それがBLAST

――前編でお話しいただいた「まずはフェミニズムについて知ってほしい」というBLASTに込める想いがとても印象的でした。発信するツールとしてYou TubeやInstagramを選択しているのは若い世代をターゲットとして意識しているからでしょうか?

石井リナ(いしい・りな)
1990年生まれ。ウェブ広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントやライターとして活躍。2018年に起業し、女性向けエンパワーメントメディア『BLAST』を設立。社会問題からセックスまでをとりあげ、InstagramやYouTubeで女性たちのさまざまな生き方を提案している。「アドタイ」「朝日新聞デジタル」「フォーブス ジャパン」などでもコラムを連載中。

石井リナ(以下石井):そうですね。媒体としてはミレニアル世代を意識して発信しているということもあります。でも、実際は年齢でターゲットを絞るようなことはしていません。「思想でつながるメディア」という考え方に基づいています。住んでいる場所や年齢は関係なく、私たちのミッションである「女性をエンパワーメントさせたい」という想いに共感する方に一人でも多く届けたいと思っています。

実際に高校生の読者がいたり、イベントでは40代の経営者の方が来てくれたりと、読者層にも幅があります。私たちのメディアに共感してくださる方は、グローバルスタンダードな価値観を持ってらっしゃる方が多いとも感じていますね。

――BLASTの考えを伝えるための工夫はありますか?

石井:一人ひとりに訴えかけながら共感できる人を増やしていく方法をとっています。ジェンダーギャップが一番少ない国アイスランドでは、女性の8割が集まってストライキを起こし、女性の権利を勝ち得てきたという過去があります。制度を変えるという方法と、草の根的に一人ひとりに目覚めさせていく方法とアプローチは2パターンあるなかで、BLASTは後者を選択しました。まずはみんなの目が開かないと行動できないので、共感してくださる方を少しずつ増やしていきたいですね。

――読者の方とはどのようにコミュニケーションをとっていますか?

石井:実はイベントの要望がすごく多いので、今後も読者の方と直接会う機会を増やしていこうと思っています。オフラインでちゃんと繋がれる場所を提供することは定期的にやっていきたいです。一人で参加される方も多いのですが、「大学や会社で女性の権利について話せる友達がいない」と話し合いの場を求めてくる方が結構多いですね。

――石井さんご自身もイベントで読者の方たちと触れ合うことで、刺激になったり、励まされたりするのではないでしょうか。

石井:本当にそうですね。メディアに対するフィードバックをもらうこともあります。クリエイター支援をするイベントも行っていて、女性で妊娠や出産をする方もスキルを身につけることで時間を有効に使えたり、それぞれの働き方に生かしてもらっています。「今は休職しているけど、もう一度スキルを生かして働けると思えた」とか「これを仕事にしたいと思った」というような言葉をもらいました。そういうキラキラした女性を見ると私のやりたかったことって、こういうことだなと実感できますね。

フェミニズムは「男性嫌悪」ではない

――石井さんは比較的若い年齢で起業されていますよね。起業時の苦労はありましたか?

石井:起業した時の苦労はほとんどなかったですね。今のほうが苦労しています(笑)。出資してくれる方との縁があって、ある意味では流れに乗ってここまで来ることができたのですが、今が一番苦労していますね。

――それは運営していく上での課題や問題という意味でしょうか?

石井:今、二度目の資金調達をしているため、自分たちの価値の証明を強く求められます。欧米でのフェミニズムの流れや、女性たちが社会で活躍していくことが必要だとは理解できても「日本の女性たちがフェミニズムという世界観に共感することができるのか?」「フェミニズムという考え方が日本において浸透するのか?」といった疑問をもらうことが多いですね。

ビジネスモデルや事業を判断されるというのが大前提にありますが、ベンチャーキャピタルも男性社会なので、フェミニズムに対する価値観をしっかりと理解してもらえないと投資の話が流れてしまいます。女性の方には共感してもらえるのですが、事業の価値の証明という意味では、まだまだ難しいというのが現状ですね。今がわりと正念場という感じです。確実にフェミニズムの流れは来ていますが、社会全体がその問題とどう向き合っていくのかという話になると、理解されるまでに時間がかかるのかもしれません。

――BLASTの存在意義を男性にもしっかりと伝えていく時期だと。

石井:そうですね。これは投資してもらう方に限らずですが、フェミニズムを「男性嫌悪」だと勘違いされる方がいます。でもフェミニズムは「男女平等」という考え方であって、男性嫌悪とは全く違います。ですので、フェミニズムの本来の意味を伝えていくと、理解を示してくれたり、実際に行動を起こしてくれる男性もいます。それはとても心強いです。

――そのような誤解を解ければ、男性でもフェミニストという場合もあるはずだと理解できますね。

石井:そうですね。あとは、女性でも経営者としてやっていけることを自分で体現することで伝えていきたいです。起業すること自体は簡単ですし、起業した人の男女比率もほとんど同じといわれています。一方で10人以上の会社だと、女性の経営者の数が減るんです。女性は大きい会社を作れないと思われていたり、自分自身はそういうことができないと思っている女性が多いと思うのですが、そういった意識も変えていきたいですね。

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