リモートワークって誘惑多すぎない?二人のリモートワーカーに聞いたうまく進めるコツ

「働く」を考える。

2018/04/17
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「台風や大雪で交通機関が乱れているのに通勤する意味とは?」「ホテルに泊まって出勤しろ?」そんな話題やつぶやきがSNSで盛り上がった今年の冬。それなら、リモートワークはどうでしょう? 今回は、会社員として働きながら、オフィスには出勤せず、旅先や自宅で仕事をしているリモートワーカーお二人に話を伺いました。

伊佐知美さんの場合(株式会社Wasei/『灯台もと暮らし』元編集長)

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株式会社Waseiの社員として、これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』の編集長を務めていた伊佐知美さん。

三井住友VISAカードや講談社といった企業で週5日出勤していた頃から、村上春樹のヨーロッパ旅行記『遠い太鼓』への憧れも手伝って「世界一周しながら書き物をしたい」という想いを持っていたそう。

その後、『灯台もと暮らし』編集長となり、フリーの仕事も増やす中、フルのリモートワーカーとして各国を旅行しながら仕事をすることに。

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世界一周しながらリモートワーク。鍵は「コミュニケーション」

――昨年世界一周の旅から帰国されたそうですが、現在はどのようにお仕事をされているのでしょうか?

現在もリモートワークを続けています。世界一周は終えましたが「一時帰国」と呼んでいて、いまでも仕事で海外へ取材に行ったりしています。本当は1泊でいいのに2〜3週間行ったり(笑)。また、国内も一年で延べ30〜50都道府県くらいは取材のために移動しています。

――リモートワークを円滑に進めるために意識していることは?

第一にコミュニケーションですね。もともと私は世界一周出発前に、いま勤めている会社であるWaseiの代表に、「どうしても20代のうちに世界一周に行くという夢が諦められないので、辞めるしかないと思っています……」と相談(?)したら、彼が「これまでも一緒にやってきたのだし、『これからの新しい働き方』を探る意味でも、辞める以外の『お互いに良い働き方』を探しませんか?」と提案してくれて。それで国をまたいだリモートワークができることになったんです。

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チームのみんなとは、出国前にどうやってリモートワークするか、とことん相談しました。そして実際にリモートワークを始めてからも、こまめに連絡を取るようにしていました。基本はテキストベースでのやり取りですが、2週間に1回は「アピアーイン」や「スカイプ」「ラインの通話機能」などで顔を見ながら打合せをしたり、一人ひとりと個別に雑談のための電話をしたり、コミュニケーションを取るようにしていました。ずっと一緒にやってきた理解あるメンバーだからこそ、リモートでやれたのだと思います。

――やはり実際に顔を合わせないことによる弊害はある、と。

距離があって、さらに時差があると、PCを閉じてしまえば「存在しない世界」になってしまうんですよね。だから自分がやめたら進行が止まってしまう仕事は優先的にやるように心がけるなど、自分なりのルールは作りました。

――特に伊佐さんの場合、旅行をしながらのリモートワークとのことで、誘惑が多そうですが。

旅は楽しいからなぁ。ビールは飲みたくなるし、遊びたくなりますよね。現地の人と仲良くなったりもしますし。以前、憧れのクロアチアに辿り着いたとき、ちょうど書籍用の原稿が詰まっていて、せっかく綺麗な部屋を借りたのに、食材を買い込んで部屋のキッチンで3食自炊をしながら4〜5日ずっと缶詰で原稿を書いたことがありました。あのときは「私はなんでこの街にいるんだろう」って思いましたね(笑)。「別にクロアチアじゃなくてもできるよこれ〜、って(笑)」。

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▲ドゥブロヴニクのメインストリート・プラッツァ通り(クロアチア)

けれど、誘惑があるからこそ、自分なりの「集中コアタイムの作り方」みたいなものも習得できた気がしています。たとえばPCの通知を切って、SNSも落として「MYオフライン空間」を作り出すと、私の場合は原稿が捗るんだな、みたいな発見をしていったり。

海外にいて時差があるときは、日本の平日や日中の時間帯はなるべくコミュニケーションの時間に充てて、日本が18時を過ぎてみんなからメールや通知が届かなくなった時間帯には自分の原稿を書くなど、時間の使い方を工夫していました。

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▲スルジ山の展望台から見下ろすドゥブロヴニクの街並み(クロアチア)

フルのリモートワーカーは「不幸」?

――世界一周からの一時帰国後も「自宅」を持つことなく2年ほど働いていた伊佐さんですが、東京で物件を探されているとか?

はい。私はもともと「家をなくしたい」と思っていたわけではなく、いろんな事情で2年弱スーツケースとリュックを持ってあちこちを転々とする生活に、結果的になってしまっていただけなんです(笑)。もちろんその楽しさもありますが、なんだか最近限界を迎えた気がしていて。

――限界というと?

年に何十回もホテルやAirbnbの宿をチェックアウトしていると「たまには10時過ぎまで寝たいわ」と思いますし、荷物も重いですし……。「なんでヘアアイロンを持ち歩いてるんだろう」って(苦笑)。やっぱり荷物が置ける場所や、日常が営める場所は必要だなと感じました。あと、「フルリモートは不幸かも!」って思い始めた!

――「フルリモートは不幸」。それはどういった部分で感じられましたか?

私個人の仕事だけならあんまり問題ないのですが、私は仲間と一緒に進めるプロジェクトがやっぱり好きで、会いたくなるし、会ったほうが話が早い。結局は、まだ私はフルリモートでは「人としっかり関係が育めない」なって。あと余談だけど、リモートワーカーの恋愛はやばい……(笑)。物理的な距離って大事なんだなと強く感じます。よく「悲しいとき黙ってそばにいてくれた」とか言うじゃないですか。以前の私は「それ、いるかな?」と思っていましたけど、やっぱり必要!「同じ釜の飯を食う」って言葉がある通り、そういうものって大切だなって。

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――世界一周しながらお仕事をされた経験からの、心からの想いだと強く感じます。

それに加えて、フルリモートで仕事をしながらいろんな街を見た経験から、これからは肩書きに「地域」も加わってくるのでは? と思っている部分があります。「ここが私の街」って言えたほうが豊かな人生になるのではないかな、と。毎日同じことをするとか、お店に野菜を買いに行って「いつものこれ」とか。それって尊いことだと思うんです。

――でもリモートワーク自体は続けられるんですよね。

はい。「フルリモート」が不幸かもな、って感じたというだけで、リモートワーク自体は相変わらず最高だと思っています。私は、「自分の仕事のうち、何割かはリモートワークできる」という「選択肢を持っている状態」が幸せなんじゃないかと思っていて。その割合は人によりますけどね。私自身、週5日出勤していた頃、週1日でも自宅勤務ができたとしたら最高にハッピーだったと思うから。

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