2015/08/27 公開

謎多き人事の仕事。60代のベテラン人事に聞いた、その業務とこれからの課題!

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普段はあまり深いかかわりのない人事部の人間。事務的なやりとりはあれど、彼らがどんな仕事をしているのか分からないという方も多いと思われます。

今回はそうした人事部へのもやもやとしたイメージを取り去るべく、彼らの業務を丸裸にしていきましょう。

人事は会社のかなめ?

人が集まる組織において、人事部のタスクである人材の管理は会社の礎となる仕事。主な業務は以下の6つに分類されます。彼らは普段どのような業務をして、どんな課題を抱えているのでしょう。大手メーカに勤めた経験のあるI・Sさん(68)(以下Iさん)にお話を伺いました。

その1、人事企画は不満がでるもの!そもそもの評価制度に問題あり?

人事企画とは、企業の目標に沿って、人員の配置や人件費を管理する仕事です。売り上げや利益の状態を見つつ、どのくらいの社員や人件費が必要なのかといったことを判断します。

「人事は社員が能力を最大限発揮できるよう尽力しますが、各部署の間では絶対に不満がでるんですよ。どんな人材がどれだけ必要かという各部署の状態が見えにくい中、経営陣と現場を調整することが大変でした。」と語るIさん

この業務には、社員からの不満がつきものだそう。そもそも人事部という現場の外側から、人員の采配をするということに無理があるようです。

その2、教育・研修は慣習にとらわれると機能しない

研修

「どのような社員を育てたいか」「そのためにどのようなことを学ばせるのか」というビジョンをもとに、研修・教育制度を企画するのも人事の仕事です。

人事側としては、「長い目で見て研修の意義を感じてほしい。すぐに結果が出るものではありませんから。抽象的な内容の座学でも2年後、3年後には役立つ内容を想定して企画しています。」という気持ちがあるそう。しかし社員からは、「意味のない研修が多い」といった批判の声が上がっています。

確かに、マナー講座やスキルアップ講座などは世の中でも不評のよう。慣習に落ち着かず、その都度に研修を刷新していく必要があります。
ちなみに、若手の研修に対する不満の記事はこちら

その3、人事評価の仕事において、「平等」の追求は不可能

評価関連の業務とは文字通り従業員の「評価」にかかわる仕事。評価がきちんと給料に反映されるよう制度を整えたり、実際に人事考課をすることが主な業務です。

大切なのは、公平であること。しかし実際には、全員が満足する人事考課の実現は不可能だとIさんは述べます。

「そもそも社員の評価とは、半年に一度行われる査定をもとに、人事部が行うのが普通です。しかし、査定をする上司も人事部も人間。主観が全く入らないとは言えない。また、評価には一つのものさしが無いことも苦労の種です。社員をどのような基準で評価し、給料に反映させるかといったことにも苦心しました。」とのことです。

人事部が一方的に行う人事考課、そして評価がワンストップではなく複層的に行われていることが問題といえるでしょう。

その4、採用活動は冒険しにくいのが正直なところ

採用

新卒や中途採用、派遣社員の採用活動が人事の仕事であることは周知の事実でしょう。各地域のハローワークや求人サイト、大学を通じて採用活動をするだけでなく、実際に応募者の面談や査定などを行っています。

人事側としては、リスクを取りたくないというのが本音。「良いと思った人材が優秀だとも限らないという採用業務において、ステレオタイプを捨てた雇用はなかなか実現しにくい。」とのことでした。

とはいえ、先入観の強く出た採用には当然不満もでるもの。大手サービス会社に勤めるI・Aさん(23)は、体育会系の人が好評価を受けることに不平等を感じると述べています。また、有名大学の学生が先輩のツテで入社する制度などが問題視されることもあるでしょう。

その5、人事制度は改良を重ねなければ意味なし

社員の働きやすさを考慮しつつ、企業の方向性を反映した制度を考えるのも人事の役目です。労働基準法などの法規制や法改訂の情報を把握することはもちろん、社員の声や会社の状況を敏感にキャッチすることが求められます。

しかしながら、工夫した人事制度も、社員からは不満があがるもの。「起案した制度やそれに伴う文化を社員の間で浸透させることが何より難点です。「意味ないじゃん」という雰囲気を社員から感じることもあるんですよ。若い頃は自分も同じように思っていましたが、いざ考える立場になると大変さを実感しますね。」とIさんは語ります。

最近では、このマインドの共有という課題に上手く切り込んでいる企業も存在します。例えば、「面白法人カヤック」は社員の声がより通りやすい環境づくりに尽力しているよう。ルールにとらわれず、満足度の高いものができるまで実験を重ねるくらいの気概がなければ惰性に陥ります。
ちなみに、「面白法人カヤック」のユニークな人事制度を紹介した記事はこちら

その6、細かい労務の仕事は効率化が必要

書類、データ

社員がどれぼど働いたのかという勤怠管理や、それに基づく給与・税金計算、社会保険の手続き、健康診断、メンタルヘルス対策、入社・代謝手続きなどが労務関連の業務です。

「どれも社員が安心して働くために必要不可欠な仕事ですが、書類やデータの処理が中心の大変骨の折れる作業なんですよ。また、労働基準法などの法規定や、頻繁な法改正にも通じてなければなりません。地味な上に成果が分かりにくいのが難点です。」とは生の現場の声。

最近では、人事向けの業務システムもクラウド化してきているよう。人事の業務に関しても時代に合わせて様々なツールを導入していく必要がありそうです。

既存のルールに縛られず、人事から会社を刷新しよう

人事の苦労

表舞台には出にくいですが、人を動かすことで会社の根幹を担う人事は重要な役職。会社の方向性、社員のモチベーション、会社全体のパフォーマンスの如何を左右します。それだけに、慣習や決まり事にしばられず、柔軟に対応し、刷新していくことが必須。

最近では、ユニークで革新的な制度を通して成果を出している企業も存在します。人事から会社を盛り上げていきたいという方は、そうした成功例を参考にするのも良いかもしれません。

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