【後編】朝日新聞メディアラボ室長・堀江隆さんが「決断」の時に思い出す言葉とは?

思い出す言葉

2016/10/20
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手掛ける仕事は起業家の「卵」の支援から新聞社ならではの取材・編集力を活かしたサービス開発まで様々

――朝日新聞メディアラボによるプロジェクトは本当に様々なものがあるように思うのですが、現在、柱となっているサービスはどういったものがありますか?

堀江 まずは『朝日自分史』です。取材力や編集力を生かして自分史制作のお手伝いをするサービスです。記者経験者が取材させていただくことは、新聞社ならではの強みです。おかげさまで事業の拡大を受け、昨年秋には大阪本社にも拠点を設けました。

クラウドファンディング『A-port(エーポート)』は、プロジェクトの実現をめざす起案者の資金集めを支援するサービスです。夢を追いかける人の活動を広め、支えることはメディアの役割のひとつです。『A-port』は資金集めを通じ、みなさんのアイデアに帆をかけ、船出を支える港になりたいとの思いをもって作られました。

ペットサイト『Sippo』は、ペットとの生活に役立つ情報を発信しているサイトです。やはり新聞社の取材力・編集力を生かし、健康やしつけ、社会問題などいろいろな情報を幅広く載せています。新聞のような『パッケージ型メディア』だけでは満足いただけない時代になりました。『Sippo』のように、特定分野を深掘りした『特化型メディア(バーティカルメディア)』を増やしていきたいと考えています。

ここにきて他社との連携を通じて事業を広げるモデルができつつあります。例えば、『朝日自分史』と『A-port』は、沖縄タイムスさんと連携することができました。『朝日自分史」のために開発したシステムを提供させていただいています。すでに他の地方紙からも提携の打診を受けています。

新しいプロジェクトをどんどん立ち上げることもわれわれの仕事です。そのためのエンジンとしては、社内の新規事業コンテスト『Start Up!(スタートアップ)』、ベンチャー企業を支援する『Asahi Shimbun Accelerator Program』が両輪になります。ともに審査に立ち会うときは、私自身大きな刺激を受けていますね。 

――『Asahi Shimbun Accelerator Program』とは、どんな取り組みなのですか。

堀江 社外の起業マインドを持つ方に朝日新聞社が支援を行い、その成長にアクセルを踏むプログラムです。参加チームのプレゼンを聞くのは純粋に面白いですし、自分自身の勉強にもなります。「発想が全然違う!」と驚くこともありますし、新しいことを生み出そうというエネルギーに圧倒されることもあります。

私は、経済部にいたときは「企業の新しい動きはしっかり見ている」という自信がありました。けれど、メディアラボにきてみて初めて「ベンチャー企業のことを全然知らなかった」と痛感しましたね。

研究開発(R&D)もメディアラボの柱の一つです。最近ではバーチャル・リアリティ(VR)や、記事を素材にした自然言語処理の研究などに取り組んでいます。

社外とのつながりを大事にしたいから、渋谷にオフィスを構えた

――このメディアラボのオフィスが渋谷にある理由はありますか。

堀江 ここ渋谷オフィスは原宿と渋谷の中間にあります。渋谷を拠点としているベンチャー企業は、いくつもありますよね。実際ここでイベントを開くと、人が集まりやすいです。構想の段階では東京本社に近い銀座に作る話があったり、当時の社長から「青山に作れ」という話もあったり(笑)。でも、「これぞ!」という物件がなかったんですね。

渋谷オフィスには、「社外とつながることを大事にしよう」という狙いがあります。ベンチャー企業が集う渋谷と新しい若者文化に触れられる原宿。そのどちらにも近い場所です。渋谷オフィスがベンチャー企業の方々に活用いただけている現状をみると、この場所にオフィスを構えたのは、良い判断だったのではないかと思います。

――メディアラボのオフィスは今後どのように発展させていきたいですか。

堀江 今まで通り、ベンチャー企業とつながる舞台として活用していきたいですね。『Asahi Shimbun Accelerator Program』も、ここ渋谷オフィスが拠点です。昨年度は1回でしたが、今年度は2回開催します。対象企業も増える見込みです。ベンチャーの卵には、渋谷オフィスで新しいプロダクトを生み出していただきたい。「渋谷のラボで生まれ、巣立ちました」という企業が、どんどん増えていけばいいなと思います。

――今後の目標や取り組みたいことについてお聞かせください。

堀江 メディアラボはいわば、ベンチャーや新しい事業の卵をかえす組織です。同時に上手く巣立たせることも大きな仕事です。いろいろなアイデアを自由に議論することは大変だけど、とても楽しい。だけど、立ち上がった事業の売り上げを伸ばし、人員や予算の配分を考えながら育て巣立たせるのは、また違った大変さと楽しさがあります。

われわれも、そのフェーズにさしかかっています。新しいアイデアを生み出す。事業のかたちにする。売り上げを伸ばし、やがて黒字を生む。そうした「卵」から「巣立ち」までのサイクルを、しっかり回していくようにしたいと考えています。

――本日は、興味深いお話をありがとうございました!

<了>

インタビュー・テキスト:田中千晴 撮影:澤山大輔 編集:マネたま編集部

【前編】朝日新聞メディアラボ室長・堀江隆さんが「決断」の時に思い出す言葉とは?
【後編】朝日新聞メディアラボ室長・堀江隆さんが「決断」の時に思い出す言葉とは?


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