「デイリーポータルZの読者が好きなんですよ。すごく。」林雄司

思い出す言葉

2017/04/03
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ターゲットは定めない、閉鎖的にしない

Hayashi Yuji 1-3

――デイリーポータルZの記事のテーマはどのように決めますか。

 専門用語を使わないで、わかりやすく説明してあれば何でもいいんです。誰でもわかることが大切なんです。例えばアイドルとかコンピュータのようにマニアが多い閉鎖性のあるジャンルは、それだけで敬遠する人が多いように思います。「クイズ!この人たちはなんのマニアでしょう? 」では、その業界の数字で会話をしてもらいましたが、ジャンルを電車ではなく紙やすりにしています。そのほうがポップに数字で語ることのおかしさが伝わるかなって思ったから。

デイリーの読者は主に20〜30代で、男女比はほぼ半々です。でも、ターゲットを決めているわけじゃない。例えば、ダムの話にターゲットはないでしょう。「オフィスが崖にあっても使える電話 」という記事をおもしろいと思うかどうか、男女や年齢層は関係ないんじゃないかな。強いて言えば、日本語がわかる人、気持ちに余裕があって余計なものをおもしろがれる人、くらいですね。

――林さんのどのように企画を立てますか。

 「こんなのあったらおもしろいんじゃない?」っていう、かなり漠然としたところから考えていますね。「進化の順番で寿司を食べる 」という記事も、進化の本を読んでいるときに「これ、全部食べられるなぁ」って思ったことがきっかけ。常に「やらなきゃ」っていうプレッシャーがあるので、本を読んだりテレビを見たりして、こういうふうに展開したらおもしろいんじゃないか、ということは考えるようにしています。思いついたネタは忘れないように書き留めておきます。すぐ忘れちゃうから。

でも「おもしろいことを考えるぞ!」と机に向かうほうがちゃんと考えられる気がするなぁ。コピー用紙にぐにゃぐにゃと落書きしながら1時間くらい考えると、2、3個はアイデアが出ますね。授業中の落書きみたいに、うずまきを書いているだけのときもありますけど(笑)。手から考える、手で書いたものを見て考える。キーボードを打つんじゃなくて、紙に書くことが大事なんです。

――バズらせようと思って企画を考えていますか。

 実は毎回思っています。バズらないですけどね。ホームランを狙ってヒットぐらい。最初からヒットを狙おうとするとだいたい空振るじゃないですか。夢は大きく持っていますよ。ただ、最初からこのテーマはバズらないだろうという企画もありますが、それでもやります。PVがよくなくても、気に入ってくれる読者がいるからです。

――マーケティング的には考えないわけですね。

 テーマを考えるときの原点は、「新しい知識をみんなに知らせたい」ということ。僕が子どもの頃からずっと持ち続けている心です。「これ、おもしろいでしょ!」って読者に教えてあげたい。でも読者が好きそうなものを狙うことはありません。マーケティング的な考えだと、読者のニーズを探るっていうことになります。知るかっていう話ですよね(笑)。デイリーは新しい知識を知らせるためのサイト。読者だって自分のニーズを知らないんじゃないかな。

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