2017/04/03 公開

「デイリーポータルZの読者が好きなんですよ。すごく。」林雄司

思い出す言葉

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仕事ができない上司は、部下にとってチャンスなんです

Hayashi Yuji 1-2

――「思い出す言葉」は「では続きは林から」。過去にどのようなエピソードがあったのでしょうか。

 僕が20代半ばの頃に上司だった人の口ぐせです。ビジョンも判断力もない、社内でも評判のダメな人。でも僕は大好きだったんです。一緒に打ち合わせに行くと、名刺交換をしてから10分くらい「上司トーク」をするわけですよ。最近の情勢は、御社のご活躍は、とか。打ち合わせとは関係ない話で場を盛り上げた後に、「では続きは林から」。肝心の仕事の話は丸投げでした(笑)。

でも僕は上司としては最高だなって思っていたんです。見た目は貫禄があって、ドラマに登場するような部長のイメージそのもの。取引先は「かっこいい部長さんが来た」って喜んでくれる。仕事の話はしないけど話術で盛り上げてくれる。会社の名刺役と思えばすごくよかったと思いますよ。

――「大好き」と言い切れる理由をうかがえますか。

 弱々しいダメなところが好きなんですよ。よく仕事の愚痴を言ったり、役員にいじめられてぼやいたり。トラブルが起きたとき二人で顧問に相談に行ったら、その場で寝返って僕だけ怒られたこともありました。腹が立ちましたけど、今思えば、何て人間らしい人だろうと。それに僕みたいだなって思ったから(笑)。自分を否定するわけにはいかないでしょう。

――共感するところもあったわけですね。でも仕事をするうえで困ったこともありそうですが……。

 ビジョンも判断力もないから、僕が提案したことは全部「いいね!」って言ってくれる。理想的な上司ですよ。仕事ができない上司は、部下にとってチャンスなんです。逆に、ビジョンも行動力もある上司は最悪。いいように使われちゃうじゃないですか。やりたいことがある人にとっては、仕事のできる上司のほうが困りますよ。「上司が決めてくれない」ってぼやく人もいますけど、そう言っている時点で他人を頼ってしまっているわけです。自分で決めちゃえばいいんです。

――現在はマネジメントをする側になりました。どのような基準でスタッフを選んでいますか。

 デイリーに執筆していたライターを、編集者として採用しています。ニフティに入社して配属された人はいません。サイトのやりたいことをわかっている人、やる気のある人に入ってほしかったので。

採用するときの一番大事な基準は、会社員経験があること。社員として編集者の仕事をするなら、社内でうまく立ち回る必要があります。予算を確保したり、経理部とコミュニケーションを図ったりできる人がいいですね。僕は下手なんですけど(笑)。ニフティにいるメリットは、お金を使えることだから。人を上手に動かせることも大切です。記事を書くなら1人1本ですけど、人を動かせば記事をいっぱい生み出せますよね。

――記事を拝見していると、編集部員との距離の近さを感じます。

 チームのことも言っておきたいですね。みんな、すごく仕事が早いです。会社をうまく使う、プラス行動力があるので、頼んでおけばやってくれる。「崖を探しておいて」「気象予報士を呼んでスナックをやろう」「底なし沼っていうテーマがいい」、こういう無茶振りが多いですけど、応えてくれます。言われたことだけじゃなくて、自分で企画を立てて進めることもできる。

すごいですよね。マネジメントをする側になってから、かつての上司の気持ちがよくわかるようになりました。周りのスタッフに弱さを見せて、助けてもらうのはありだなって。いいスタッフ に恵まれたと思います。Webメディアの編集部としては年齢層が高めなんですけど、一緒に年をとってきたから付き合いも長いわけです。

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