【後編】「マネジメントとは、部下の才能を開花させて、責任を取ること」はあちゅう(ブロガー・作家)

失敗ヒーロー!

2019/02/14
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ストレスに感じたことこそ、いいコンテンツになる

――日常をコンテンツ化するにはどのような工夫が必要でしょうか?

はあちゅう:前編でお話しした通り、これは覚えておきたいと思うことはメモを取るようにしていました。あとは、ストレスに感じたことこそ、実はいいコンテンツになるんです。大人になると、日常で心が大きく動くことはそんなにないですよね。でも価値観の違う人と出会ったり、何かに怒ったりすると、感情が動きます。私はその揺れ動きが、もうコンテンツのようなものだと思っていて。嫌なことをしただけでは“損”になってしまうけど、それをコンテンツとして活用できたら、私にとってそれほどいいことはありません。嫌なことが起きたときこそ、何かにアップするようにしていますね。

――もはや抜け目を一切感じないのですが、そんなはあちゅうさんでも心に残っている“失敗”はあるのでしょうか?

はあちゅう:逆に“失敗だらけ”です。発言はネットにすべて残ってしまうので、なんであんなこと言ったんだろうとか、対処の仕方を間違えたなと思うことは多々ありますよ。でも時間は戻せないので、あまり考えないようにしています。あらためて「失敗」と聞いて思い出すのは、電通の新人時代に、ある打ち合わせに何も持っていかなかったことです。その打ち合わせは参加スタッフが考えてきたアイデアを見せ合う場所だったのですが、当時は受け身だったし、そもそも「打ち合わせ」の意味をよくわかっていなかった(笑)。そのときはとても恥ずかしかったですね。とにかく「話を聞いているだけで時間がいっぱいになりますように」と祈り続けたら、本当に私が話す時間がなくなったので、「後でメールで送ります」と切り抜けました(笑)。

――想像すると胃が痛いシチュエーションですね(笑)。トレンダーズ時代は何かありましたか?

はあちゅう:トレンダーズのときは、胃薬を5種類飲むほど体調が悪かったんです。スケジュールもぎちぎちの状態で、どうやっても無理でしょ、という量のタスクが降ってきたんです。そのときは本当に頭にきて、「こんなに仕事できません!」と先輩に言いました。すると、先輩から「その仕事量をこなすということも、仕事なんだぞ」「できませんと逆ギレするのではなく、どうやったらできるかを考えるのが編集長の仕事でしょ」と言われたんです。

そのとき、「たしかに」と思うと同時に、自分の体は自分で守らないといけないし、何かをやれと言われても、何をやらずに何を優先させるかと業務整理をすることも、先輩任せではダメで、自分の仕事なんだと気づいたんです。だから先輩に相談に乗ってもらって、タスクを整理しました。そうした結果、自分がイヤイヤやってきたことを削ることができたんです。

どんな人にでも「適材適所」は必ずある

――拒絶ではなく、管理。それこそマネジメントですね。

はあちゅう:それまで私には「マネジメント」の考え方がなかったんです。編集長という立場も実は“名ばかり”で、使われる立場に自分からなってしまったんだな、と思い当たりました。いまの仕事に疑問を持つことも大切な仕事なんですよね。

――いいお話ですね。言われるがまま仕事している人って、結構多いと思います。電通のような大きな会社とベンチャーとではマネジメントもまた違いそうですね。

はあちゅう:大企業だと年功序列の考えで、上を立てたり、意向を汲むことに時間を使うことも多いと思います。私もコピーを考えるときに、上からのハンコをもらわないと外に出していけないので、クライアントに正面からぶつかっていくというより、「まずは先輩が気に入りそうな案にしよう」とか、先輩や上司に寄せていくことがありました。いわゆる忖度的な振る舞いはあったと思います。「その案じゃ絶対バズんないけどな」と本音じゃ思っていても自分からは言えなくて、「伊藤はどう思うんだ」と聞かれて初めて口を開く感じでした。嫌われる覚悟もなく、当時は気に入られたいという気持ちが強かったんです。でも、天才と言われるクリエイターは空気を読まずに発言していたように思います。

ベンチャーでは人数が少ないところも多いからか、人間関係のもつれが思った以上に仕事に影響します。「この人とこの人は仲が悪い」という状態は、直接的に仕事がやりにくくなったりして、逃げ場がないんですね。大きな会社なら異動すればいいですが、小規模な会社だとそれも厳しい。

――向き不向きは飛び込まないとわからないかもしれませんね。では最後に、はあちゅうさんの考えるマネジメントとはどんなことですか?

はあちゅう:責任を取ることと、才能を開かせてあげることですかね。上司やマネジメントに携わる人には、自分の部下に合う部署でその人の適性に合った仕事を振ってあげることで個性や能力を引き出した上で、チェック体制などをきちんと組み立てて、欠点を補える環境を構築して「失敗しない」仕組みづくりを行うことが必要だと思います。

そもそもお仕事は、「できる・できない」ではなく、「合う・合わない」だと思うんです。だって、「仕事ができない」と言われている先輩が飲み会ではひときわ輝いていたり、転職した先でエースになっていたりすることなんてよくあることじゃないですか。「適材適所」というのは絶対あります。でも「合う・合わない」は、運命めいたものでもあると思いますね。

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