2017/04/11 公開

ゲートボールは殺人事件がおきるほど殺伐としてる!?現場にいって確かめた結果!

特集:「働く」を考える。

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ゲートボールって殺伐としてるの?

ゲートボールをしている高齢者たちは、実は殺伐としているという噂を聞きました。最近でもゲートボール中に起きた殺人事件がニュースになりましたね。ゲートボールが殺伐としているかもしれない理由をネットで調べてみると、「実力差があるとストレスがたまるというゲーム性が問題ではないか」「女性の取り合いで揉めた」といった記述が散見されました。しかし、どれも根拠のない書き込みなので、信憑性はなし。ゲートボールは本当に殺伐としたスポーツなのでしょうか。

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1986年発行のこんな漫画を発見。漫画の題名になるほど、ゲートボール殺人はセンセーショナルな話題だったのだろうか……(ゲートボールで揉めて殺人したという話ではなかった)

そもそもゲートボールってどんな競技?

高齢者が殺伐とする原因を探るため、まずはゲートボールのルールを調べてみました。

  • 5人対5人のチーム対抗形式のゲーム。
  • 競技時間30分内に総得点で勝敗を決定します。
  • 先攻チームは赤ボール(奇数番号①③⑤⑦⑨)、後攻チームは白ボール(偶数番号②④⑥⑧10)を持ちます。
  • 先攻、後攻と交互にチームの打撃順番どおりに自分のボールを打撃していき、コートに設置された3つのゲート(第1~第3ゲート)を通過させ、最後にゴールポールに当てて「上がり」となる形式。
  • 得点は、「ゲート通過」の場合、第1~第3ゲートを通過ごとに各1点(計3点)、「上がり」の場合、第3ゲート通過球をゴールポールに当てると2点で、個人の得点合計は5点。

出典:公益財団法人 日本ゲートボール連合HP

これが基本ルール。激しい身体のぶつかり合いもなければ、揉める理由になりそうな反則技や攻撃性も見受けられません。ましてや殺人事件が勃発するなんて、とても……。と思いながら見ていくと、ひとつ気になるルールを発見。

  • 自球を打撃し、他球に当てて「タッチ」が成立した場合は、「スパーク打撃」(足下で自球に他球を接触させ、自球を攻撃することで他球を弾き出す)を行います。

さらに「スパーク打撃」が成立した後、「継続プレー」の権利が得られます。
出典:公益財団法人 日本ゲートボール連合HP

「スパーク打撃」……! もしかして、このプレーが殺伐とする原因なのではないでしょうか。次の一打で得点が取れるはずだったのに、相手のスパーク打撃によって球がコート外に弾き出されてしまったら当然、不利になります。イラッとするのでしょう。

近くの公園に行ってみることに

ということで、ネットの記事や憶測だけでは真相はわからないので、近くの公園に行ってみることにしました。すると、3人対3人でゲートボールをしている高齢者のグループを発見。はた目からは、殺伐とした空気はあまり感じられません。とりあえず声をかけてみると、この日は、3つの地域から7チームが集まった大会とのこと。

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競技人口が約20年で1/5ほどに減少しているため人数が集まらず、3人制で試合を行う「リレーショントリプル」というルールを取り入れることもあるという

――ゲートボールは意外と殺伐とするスポーツだと聞いたのですが、本当ですか? 

「たしかに、昔はちょっと殺伐としてたわねぇ。お前の打ち方は違うとか、他人のプレーにいちいち口出しする人がいて、それで言われたほうもカチンときちゃって。それでよく揉める人がいたみたいね。それで都内でも殺人事件が起きたこともあったし」

――でも、いま見学していた限りでは、みなさん和気あいあいとしていて、めちゃくちゃ仲が良さそうです 

「もう付き合いが長いから、マイペースな人がいても『あの人はこういう人だから』って感じで、みんな上手に受け流してる。昔みたいにケンカしなくなったわね」

――なるほど。そういう血気盛んな時期を過ぎて、いまはお互いを受け入れあってる感じなんですね。より長く良好な関係を続ける秘訣って何ですか? 

「ゲートボールはチームプレーが大事だから、勝つためには遠慮せず言いたいことはちゃんと言い合う。でも、相手を責めたり人格を否定したりしないことかしらね。昔は『女は下手くそだ!』なんて言われていたけど、いまはもう、そういう女性差別もないのよ。みんな仲良く楽しんでやってる。はい、チョコレートどうぞ」

なんでも練習後のお菓子が一番の楽しみで、各自持ち寄ってみんなに配るのだとか。こうしてみんなでチョコレートをほおばる光景からして、ちっとも殺伐とはしていません。ちなみに、別の方からはお餅をいただきました。

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男女比率は7:3くらい。95歳の元気なおばあちゃんの姿もあった。ゲートボールをする理由は、健康維持と認知症予防と声を揃えていた

別の公園に来てみた

もう少しいろんな高齢者の話を聞くべく、次は世田谷区にある別の公園へ。ここでは、5人対5人で練習をするグループにお話を伺いました。やっぱり、みんな仲が良さそう!

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基本的に町内ごとにチームが分かれているが、ほかの区や地域からチームを越境して練習に参加してもいいらしい

――やっぱりみなさんも、昔は殺伐としていたんですか? 

「昔はね。年寄りになるとみんな意固地になってくるから、事前に戦術を決めてもその通りにやらないヤツがいて、右に打てって言っても『俺はそうは思わねぇ』なんて言って左に打っちゃう。それで味方同士で揉めるっていうのはあったね」

――そういうときは、どうやって事態を収めていたんですか? 

「リーダーを決めることだね。リーダーがビシッと方針を決めたら、それに従う。揉めごとが起きたときにうまく仲裁できる人もいるといいね」

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球を足で押さえて打った! あれが噂のスパーク打撃か……。でも、打たれた人は何も言わない

――伺ってみると、みなさん20年、30年と続けられている方が多いですが、ゲートボールを長く続けられる理由って何ですか? 

「そりゃ楽しいからだよ。いい仲間がいて、みんなで戦術を考えながらプレーをするのが何より楽しいね。こうやってチームワークを保つには、第一に味方の技術を信用すること。彼ならこんなプレーをしてくれる、だからそれを信じて自分も打つ。それでも、思うように球が進まないとか、意見の食い違いで戦術通りにいかないことだってある。そういうときは、さっと頭を切り替えて、次の戦術を考える。何があっても味方のミスを絶対に責めないことだね。ところで、 ”ばかうけ” は好きかい?」

なるほど。味方を信じて思いやる気持ちがないと、ゲートボールは楽しめないんですね。そして、この日も帰り際にお菓子をいただきました。やはりお菓子は、チームワークに欠かせないコミュニケーションツールらしい。

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