2015/10/05 公開

「透明性を生むため議事録は全社共有」エンジニア定着率100%のfreeeの企業文化を徹底解明!

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「いかにして、人が辞めない組織を作りだすのか」組織にとっては永遠のテーマと言えるでしょう。特に事業を急成長させることを目的として結成されることが多いスタートアップでは、組織の変化が激しく、結果、人が根付きにくい傾向があると言います。

しかし、圧倒的な定着率を実現している企業が存在するのも事実です。その名は、「freee」。クラウド会計サービスにおいてシェアNO.1を誇るスタートアップです。同社で特に目を見張るのが、一般にマネジメントが難しいといわれるエンジニアの定着率。なんと、3年間で40人中1人も辞めていないという驚異的な成果も上げているようです。

freeeは一体どのように「人が辞めない」組織を作り上げてきたのか。そのヒミツを同社の開発本部長である平栗さん、広報の前村さん、そして人事担当として新たに参画した古塚さんにお話を伺いました。

辞めない仕組みを作ったのではなく、「価値がある」と思ったことを自由にできる環境を用意しただけ

– エンジニアが3年間で1人も辞めていないという事実は、正直にいって驚異的です。ストレートにお伺いしますが、どうして人が辞めないのでしょう?

平栗:人が辞めないように、という観点で組織をつくっている気はありません。「自由にやってほしい」という考え方が理由かなと思います。ただ、自由を担保する代わりに、社員一人一人がきちんと意思や意見を持って動くという点は重視しています。

「自分で良いと思って何かやる分には任せる。逆に言われた通りの人では難しい」というスタンスなので、結果的に自分の意見を持った人がfreeeには入ってくるし、そういった人たちにとって働きやすい環境ができあがっているのではないかと。組織をつくるという立場の人間もその部分を一番大事にしています。

平栗さん
(開発本部長 平栗 遵宜氏)

– つまり、採用の時には「きちんと自分の意見を主張できる」人材を入れるということになりますよね?一般的な企業では、素直に言うことを聞く人間を採用するのが一番、ラクだと思うのですが。

平栗:採用の際にはこちら側の意見や理屈を理解した上で、議論ができるか人材かどうか、という点を重視するようにしています。もちろん議論をすることには、コストや時間がかかります。ただ、議論を重ねた上で結論を導くことがゴールに到達する上で最も効率的な方法ですし、ベストなアウトプットが出ると思っています。

そのためにフラットにディスカッションしあえる文化というのをすごく大事にしていますね。

Twitter、Squareのように議事録は社員全員に完全にオープン

– 例えば、どんな議論が生まれるのでしょう。何か具体例を教えて頂けますか?

前村うちの会社では全てのMTGの議事録が共有されるんですよ。それに対して、皆の議論が白熱して良いアイデアが生まれるというのは良くあるパターンですね。

– たしか、TwitterとSquareの創業者であるジャック・ドーシーも同じような取り組みをしていましたね

平栗:あとは、社長をはじめとした経営陣にもフランクに意見が言えるというのが大きいかもしれません。先日、ニューヨークで開催されたFinTechカンファレンスに代表の佐々木が出席した際、彼が現地から自分の意見も加えてそのイベントのサマリーを社員に流したんです。すると、社員から一斉にレスポンスがあり、「うちに解釈するとこんなことができるのではないか」「自分だったらこう思う」という意見がたくさん寄せられました。

弊社は既に100名を超える会社です。それくらいになると社長って大きな存在になってしまいがちですが、弊社の場合、メンバーが佐々木に対しても臆せずに意見を言えることが自慢ですね。

フラット2

– 社員が社長に意見を出すことは、一般的な企業だとなかなか難しいですよね。どのように実践してきたのでしょうか?

平栗自由でフラットな文化は創業期から存在するものなので、意図的では無いというか、大多数が価値基準に沿った行動をしていれば自然と皆に浸透していきます。ただ、文化の継承は全社的に使命とされていて、新しいメンバーには皆が自然とフィードバックし合うような雰囲気になっていますね。

前村:あとは、社長も風通しの良い社風をつくるのが上手いんですよ。例えば、freeeは経営陣専用の部屋が無い上に、佐々木は皆の顔が見えるように会社の入口に座っているため、社員との壁が一切無い。だから、役員やマネージャーも佐々木の周りに集まるので、オープンな雰囲気が出ます。「社長イコール正しい、偉い」という先入観はfreeeの中には無いと思っています。

月並みだが、明確なビジョンが最大の求心力となる

-freeeさんといえば、会社のビジョンが非常にはっきりしていますよね。ここまで明確なビジョンがある企業は珍しいと思うのですが、何かメリットはありましたか?

平栗:うちは創業期から一貫して「スモールビジネスに関わる全員が創造的な活動にフォーカスできるように」というビジョンを掲げており、未だに1ミリも変わっていません。こういう明確なビジョンをもっていると「皆が同じ方向を向ける」というメリットがあります。

前村:ビジョンが明確だと何を議論しているにしても、「うちの会社が目指しているものは何か」という疑問が浮かび上がることも無い。そうするとハイレベルな意思決定もしやすいですし、メンバーの納得度も全然違ってきます。また、このビジョンが達成できているかが常に会社の指針となるので、ビジョンが具体的だと成果も分かりやすくなります。

freee前村さん
(マーケティング/PR 前村菜緒氏)

ビジョンに共感するかどうかで応募者の質も容易に計れる

-明確なビジョンを掲げたことで、採用という側面では何かメリットがありましたか?

平栗:はっきりしたビジョンを持っていると、採用もしやすいですね。特にうちの会社はクラウド会計ソフトという、「地味だけれども企業にとっては絶対必要である」という意味で一般的なwebサービスとは毛色の違うプロダクトを作っています。だから応募の段階で、「ビジネスの基盤を支えたい。社会の中で縁の下の力持ちになりたい」と思っている人がやってくる。

そういう人に、「今は会計ソフトだけでなくて、あらゆる業務効率化のプラットフォームになることを目指しています。」というビジョンを話すと目をキラキラさせて「いい!」って言うんですよ。その反応を見るだけで、その人が事業にやりがいを感じられるのか、興味があるか無いかという判別もつきやすいです。

ビジョンが明確でない企業の場合、価値観のすり合わせが難しかったりしますが、弊社はビジョンが明確な分、それに共感する人に悪い者はいないというか。入ってくる人材の質を担保することができます。

(つづく)

人事部が存在しないfreeeに参画した古塚さん。なぜ、彼が入社することになったのか?freeeは新たなメンバーにHRマネージャーという役職を与え、何を狙っているのか。freeeが目指す未来を後編で解明します。

(インタビュー・編集)サムライトCCO/編集長 後藤亮輔 (執筆)サムライト編集部 溝田萌里

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マネたま編集部
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