2016/11/29 公開

「『自分がやる』は害悪だと思うんです」スナップマート株式会社・江藤美帆

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自分がやらなくてもいいことは、なるべく人に頼ることにしています。たぶんそのほうが、みんな幸せになれるんですよ。

長い「下積み」って要らないのでは?

――江藤さんはずいぶん前からインターネットに携わるお仕事をされていますが、以前と比較して良くなった点と悪くなった点はありますか。

江藤美帆(以下、江藤) 良くなった点としては、若い人が自分からどんどんメディアを作ったりと、既存のステップを踏まずにどーんとやりたいことをやる……そんな潮流が徐々にできてきていること。私自身も最初からネット発信でやりたいことをやってきたので、下積みをしていないんですね。そこがインターネットの良いところだと思います。

――他の職業にもいえることですが、「下積みをしていないとダメだ」という風潮もあるかと思いますが。

江藤 私は、何をやるにしてもそんなに長い下積みはいらないんじゃないかと思っています。確かに新卒フリーランスで社会に出て、知っておくべき最低限の物事を知らなくて苦労したんですが、それでも下積みをしないと自分のやりたいことにたどり着けないのは、ちょっと違うんじゃないかと。それに、やりたいことをやるための下積みだと思って始めたはずなのに、そのうちやりたいことがなくなったり、やりたいことを忘れちゃったりとかする人も結構いるのではないかと思うんですよね。

――目標や夢に向けての下積みだったはずが、下積みではなくなってしまうと。

江藤 はい。よく「大企業に入って何年か経験を積んでから起業しようと思っています」という話を聞くんですが、そうなっちゃうと案外起業から遠ざかってしまう人も多い気がしていて。いい会社に入った人ほど、一度手に入れた地位や居場所を手放すのが怖くなっちゃうのかもしれないですね。そう考えると、最初から何もない、失うものが何もない状態でやりたいことをやっている人が増えていることは、いいことだと私は思っています。

悪いことは……全体的に「短絡的」になっていることですかね。これは物書き的な視点になるんですけれど、昔より中身を読まずに批判されることが多くなったように感じます。

―――記事の内容には触れずに、タイトルだけで批判されるケースはたしかにありますね。

江藤 前まではパソコンの前に座ってじっくり読んで、コメントを書くという流れだったのが、今はもうほとんどの人がスマホで記事を読んでいるので、じっくり読まずにタイトルにだけ反応しているだろう、みたいなコメントがすごく増えていますね。あまり本質を理解しないで批判する風潮によって、本当はすごく良いコンテンツを書く人たちが萎縮していなくなっている。それはもったいないし、さみしいなと思います。

―――Twitterの影響も大きいでしょうね。それに、インターネットで罵声を浴びせられることって理不尽だと思います。

江藤 実名と匿名が混在している世界なので、どうやっても実名の人は不利なんですよね。今はそうやって発信する人がどうにか心を強くして耐えるしかないじゃないですか。それは不健全だなって。

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江藤美帆(えとうみほ)
スナップマート株式会社代表取締役。米国留学から帰国後、フリーのテクニカルライターとして活動を開始。2004年、英アレン・カーズ・イージーウェイ社の日本における独占的販売権を獲得し、一度目の起業。2010年に事業譲渡。以後、VR系ITベンチャー、外資系IT企業などを経て株式会社オプトに入社。入社後まもなくソーシャルメディアの可能性を探求するメディア「kakeru」(初代編集長)、エンジニアイベント「市ヶ谷Geek★Night」などを立ち上げる。2015年10月より関連会社の株式会社オプトインキュベートに出向し、「スマホの写真が売れちゃうアプリ Snapmart(スナップマート)」を企画開発。2016年8月、ピクスタ株式会社への事業譲渡に伴い新会社スナップマート株式会社へ移籍、現職に至る。

ネットの世界は、新しいことが毎日生まれてくる

―――インターネットで働くことの面白みはどこにあると思いますか。

江藤 私は普通にインターネットが大好きというか、ネットに浸かっている人なので、趣味と仕事の境目が全然ありません。今運営している「Snapmart」もそうですけれど、自分が興味のあることにすぐ飛びついていけるところが、やはりネットの仕事の醍醐味かなと。才能がある人、面白い人、新しいことが毎日生まれてくるのがインターネットの世界で、そんな好奇心を満たしてくれるところが面白いですね。

―――いつ頃からネットが大好きになったのでしょうか。何かきっかけなどはあったのでしょうか。

江藤 子供の時からパソコンオタクで、高校生くらいの時に、パソコン通信をやっていたんですね。当時はニフティーサーブみたいな、文字だけの交流の場があって、有名な作家さんたちが普通に書き込んでいたりする掲示板やフォーラムと呼ばれるコミュニティがあって。高校生でもそういった著名な人たちと交流できるのが魅力的で、すごい世界だなって思いました。それが私にとっての原体験ですね。

―――高校生の頃の出会いがきっかけだったと。

江藤 はい。私はアメリカに留学しているのですが、向こうで日本が恋しくなってホームシックぎみになったときもインターネットにすごく助けられました。コンピュサーブというアメリカの通信サービスを経由してニフティーサーブに接続して日本語に触れることで、なんとか寂しさを紛らしていました。それもあって結構どっぷりはまっていったという感じですね。

―――江藤さんはアメリカに留学中ライターとしてデビューし、その後フリーランスとして働かれていたとのことですが、当時の働き方としてはすごく珍しいですよね。

江藤 そうですね。私の場合、就職活動を帰国してから始めたのですが、当然、まわりの大学生の就活生よりも年齢は上。その頃、特に女性は短大卒や高卒のほうが就職しやすい時代で、私は四大出身でさらに留年と留学もしたので、圧倒的に不利な状況でした。

―――新卒フリーランスについて書かれた記事も拝見しましたが、意志の強さを感じました。

江藤 就職先の選択肢がない、もう仕方がなかったという状況ですね(笑)。でも私の世代でフリーランスの人は、みんな同じように止むを得ずって感じの人が実は多いですよ。

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マネたま編集部
「現場視点から考えると、マネジメントがもっとオモシロクなる」をコンセプトに、マネジメントに関する情報を発信していきます。