2015/10/01 公開

毎月1人、親族に不幸が起こる!?慶弔見舞金詐欺と人事の対応方法とは?[人事事件簿 vol.1]

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「交通費を水増ししていたらしい」「飲み代を経費で落としていたらしいよ」といったうわさは、どこの会社にもある類の話。とはいえ、社員の横領に関わる詳しい情報ともなれば、社内であっても一部の人間しか知らないものです。

世間では一体どのような横領事件があるのか、発覚した場合どうやって対応すればよいのか。気になっている方はたくさんいるはず。

そこで、今回はとあるマーケティング会社の人事部長Rさんに、今まで体験したとんでもない社員の横領事件と、それに対していかに対処したかというお話を伺いました。組織のコアな情報を握ってきた人事部長は一体何を語ってくれるのでしょう。

親戚が亡くなったと嘘をつく慶弔見舞金詐欺

見舞金
-人事部長といえば、いわゆる会社の深い情報に触れる役職だと思います。ずばり、社員が会社のお金を横領していたというケースは、経験されたことがありますか?

R:「私の会社は、社員の祝い事や不幸に対して見舞金を支給する制度があります。いわゆる慶弔見舞金と呼ばれるものです。昔、ある社員が親戚の不幸を偽って、見舞金を不当に請求していたことがありました」

「生活に困っていたというのが理由だったようです。その社員は男性でしたが、女性が多い職場に上手く馴染めず、欠勤が続いたことで給料が減ってしまったのですね。慶弔見舞金は支給額がだいたい5万円程なので、それで何とか生活をしのごうと考えたのでしょう」

-親戚の不幸と言われればそれが嘘だとは思わないですよね。どうしてその社員が横領していると分かったのですか。
R:「2か月前に祖母、一か月前には祖父、その月には母親が亡くなったといって、毎月見舞金を請求してくるので、明らかに様子が変でした。祖母、祖父までは『不幸が続くね』と同情していたのですが、母親が亡くなったという時点で役員会でも『ちょっと変ではないか』という話になり、調査に踏み切った結果、嘘が発覚しましたね」

葬儀場の連絡先を聞くことで事件が発覚

-調査をしたとのことでしたが、具体的には何を調べたのでしょう。まさか死亡届けを提出しろとは言えないですよね。

R:「その時は、部下に頼んで葬儀場に予約があったのかどうか確認してもらいました。結果、例の社員が葬儀を行う予定は無いということが分かって、何かの間違いではないかと本人に確認したところ横領が発覚したという訳です」

「この事件の後に、慶弔見舞金を支給する際には『香典を送るから』という理由で必ず葬儀場の連絡先を聞くというフローができました。失敗から学んだということです」

本当にあった!交通費の水増し事件

交通費
-他に会社の制度を利用したような不正はありましたか。例えば交通費や接待費の水増しなどは世間でよく問題になっていると思うのですが。

R:「ありましたね。ある社員が、交通費を毎月数万円単位で水増しして請求していたことがありました。『あまりに請求額が大きいのではないか』という不信感から、本人に問いただしたところ、水増し請求をしていたことが分かりました」

-交通費は社外で使う経費なので真偽が分かりにくいですよね。どうやって調査をするのでしょうか。

R:「基本的には領収書をチェックします。水増しが細かい金額だった場合には分からないものですが、1万や2万の単位で悪意を持って横領している場合にはすぐにバレてしまいますよ」

「加えて、その事件の時には当人のスケジュールをすべて洗い出すということをしました。チャットメッセージやタイムカード、スケジュール管理ツールなどあらゆるものを確認して、本当の交通費が本当はいくらだったのか調べ上げましたね。」

横領が発覚!その時人事は・・・?

最後

-社員の横領が分かった際には、具体的にどのような対応をしたのか教えて頂けますか?

R:「慶弔見舞金の偽り請求の時は、まず返金を求めました。嘘が発覚した翌日に亡くなったはずの母親と父親が会社にやってきて、見舞金は返金されたので刑事事件には至らなかったです。その後『会社としては君を雇い続けるわけにはいかない』と懲戒解雇を言い渡すと、本人も退職届けを出して辞めていきました」

「一方、交通費の水増し事件の際は、戒告という選択をしました。全社に横領の内容と当人の名前を流して、且つ厳重注意をしました。」

-社員に対する懲戒処分にも色々と段階があるということですよね。どのようにして、決めるのですか。

R:「基本的には就業規則に書かれた処分を参考に、そのケースがどのレベルに当てはまるのか、役員会で検討します。しかし、たいていの場合は社員が自分から辞職していく場合が多いです。」

-横領に関して、詳しい話は分からないという人が多いと思います。事件の裏で何が起こっているのか、知ることのできた貴重な機会でした。興味深いお話をありがとうございました!

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