「芸人の仕事は、0から 100を作り出すこと」野性爆弾・くっきー(芸人)

失敗ヒーロー!

2018/12/12
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華々しい成功の裏には、失敗や挫折がある。その失敗エピソードから成功の秘訣をヒモ解く『失敗ヒーロー!』。今回ご登場いただくのは、デビューから20年。ずっと“どんずべり”ながらも地道に活動を続け、大ブレイクを果たした野性爆弾のくっきーさん。時にブラックでグロテスクな芸風は、現在の活躍からは考えられないほど、受け入れられない時代も長かったのだとか。そんな不遇の時代を経て、その芸風が今求められている理由と、くっきーさん流の芸人像について迫ります。

お客さんにウケなくても、芸人にウケていたから続けられた20年

――芸歴20年にして「メディアで見かけない日はない」と言っても過言ではないほど、大ブレイクしていますが、この状況をご自身ではどう思われていますか?

くっきー
1976年3月12日生まれ、滋賀県出身。お笑いコンビ野性爆弾のボケ・ネタ作りを担当。2015年に本名の川島邦裕名義からくっきーに改名。得意のイラストを交えたネタなどで発揮される独特の言語感覚やセンスで注目を集める。「肉糞太郎」、「肉糞亭スポーツ」などの別名を持ち、肉糞亭一門には先輩後輩関係なく、さまざまな芸人が名を連ね、時折イベントも開催している。自身のインスタグラム(@nikuguso_taro)のフォロワーは100万人にも迫る勢い。

くっきー:仕事が全くない時期が長かったんで、今の状況はめちゃめちゃうれしいし、ラッキーです! ずっとシケモクみたいな人生を歩いてきてたんで(笑)。本当僕、シケモクやったんですよ。夢いっぱい、1本のタバコで芸人になってはみたものの、どんどんどんどん吸われていって、ギチギチの状態やったんで。

――売れずに消えていく芸人の方も多いなか、なぜ頑張り続けることができたのでしょうか?

くっきー:お客さんには全然ウケなかったけど、芸人たちが笑ってくれていたのでモチベーションを保てたんですよね。客前でどんずべりしても、袖に戻ればケンコバ(ケンドーコバヤシ)さんやザコシショウ(ハリウッドザコシショウ)、バッファロー(バッファロー吾郎)さん、なだぎ(なだぎ武)さんとかが「なんやあのネタ!」ってキャッキャ笑ってくれていたんです。「どういうつもりでやってんねん!」ってクサすんですけど、芸人にとってはそれが褒め言葉なんですよね。それがうれしくてうれしくて、ここまで続けてこれたんです。だから売れる前からネタのスタンスはずっと変えてません。芸人たちにウケてなかったら正統派漫才をやっていたかもしれない。そしたら売れるのがもっと早かったかもしれない……。そう考えたら、先輩らのせいで売れるの遅くなったんかな?(笑)

――先輩や芸人たちにはウケていても、お客さんにはウケないという状況で辛くなることはなかったんですか?

くっきー:“芸人が笑う芸人”のほうが絶対オモロいと思うんですよね。そりゃ目が肥えたお客さんもたくさんいらっしゃいますけど、オモロいことを追求している芸人が笑うほうが、やっぱりオモロいと思うんです。それを糧に耐えしのぎましたね。

ゴールデンでもギリギリを狙う。昔と違って「絶対アカンところ」がわかった

――売れっ子になった今、ゴールデン番組への出演をはじめ、企業主催のイベントに出たり、CMに出たりとマスに向けての活動が増えていますが、マスに芸風を寄せようとは思わなかったのですか?

くっきー:最早「ちゃんとしてくれ」とか普通を求められないんです。「あの白塗りをやってくれ」とか、向こうのほうからリクエストが来る。だから通常通りやらせてもらってます(笑)。

――ゴールデン番組で際どいことを言い続けて、テレビから消えたという過去もあるんですよね?

くっきー:そうなんですよね。10年くらい前に東京に来て、仕事がバッと増えた時期にゴールデンだろうが、何だろうが、関係なくいびつなことばっかり言っていたら沈んでいきましたね。でもそういうのがなくなったら、僕はただの平民タレントになってしまうし、そうなったら終わりですね。でも、もともとド級に不器用っていうのもあるかもしれないです。

――当時とは逆に、その毒っ気が今求められているという図式が面白いですよね。

くっきー:毒っ気みたいなものは、僕のなかで「トロみ」って呼んでるんです。トプトプした感じというか、ペペローション的なトプり感。食べ物もトロみがあったほうがいいじゃないですか? あんかけにしたほうがウマなるし、女子もあんかけのほうが好きでしょ?(笑)

――確かに女子はチーズとか、味が濃いほうが好きだったりしますよね(笑)。

くっきー:絡みつく感じでいたいんですよね。今はゴールデンでもギリギリのラインを狙うっていうのが楽しくなってきて。フジテレビの「坂上どうぶつ王国」っていう動物番組に出させてもらっているんですけど、番組のなかで「ギリ通る、ギリのラインを刺す」っていうのが僕のなかでのこだわりで(笑)。あばらとあばらの間をアイスピックで刺すみたいな。もちろん、「どっちやろ?」と思って刺してみたら、結果カットされてることもたくさんあります。そこは番組によるし、刺さらない時もある。でも、昔と違って「絶対アカンところがわかった」っていうのは、唯一成長したところです(笑)。そこは学びましたね。

ブレイクしたきっかけは同期芸人がMCまでのし上がってくれたこと

――今のブレイクのきっかけは何だと思いますか?

くっきー:親しい芸人がMCクラスまでのし上がってくれたことですね(笑)。ブラマヨ(ブラックマヨネーズ)とか、チュートリアルとか。大阪でいえばシャンプーハットとか。僕の扱い方を知っている奴らがVIPなところに行ってくれたから、使ってもらえるようになったんちゃいますかね。ジュニアさん然り、せいじさん然りです。

――同期の芸人の活躍を目の当たりにして、ライバル心は芽生えなかったんですか?

くっきー:最初からライバルと思ったことがないんです。ブラマヨとチュートリアルは完全な同期になるんですけど、M-1で優勝した時はめちゃめちゃうれしかったですもん。そもそも僕は漫才をちゃんとやる芸風じゃないし、万人ウケすることもしていませんし、ケンコバさんやバッファローさんたちが歩んできた“暗黒ロード”側の人間ですから。暗黒ロードから真っ当なロードを歩いてる同期のM-1優勝を見て「ほんまよかったなあ」って思ってました。よくあるのは、活躍してる後輩とかに嫉妬するとかちゃいます?

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