2016/07/06 公開

全員が常にフル稼働している組織は長続きしない。存続のためには人員に余裕を持たせることが重要である。

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筆者:ニャート 元編集者。過労で退職→ニート→派遣の底辺人生コンボ経験から、主に労働問題について書いています。
ブログ:「一橋を出てニートになりました

日本の企業は、サービス残業の横行からも分かるように、「社員を長時間働かせる」ことは熱心ですが、「社員を効率的に働かせる」ことは軽視しがちです。

「残業代が高いから残業させない」、「労働基準監督署に目をつけられるから残業させない」という観点はあっても、「仕事の質を上げたいから、社員に適切な休みを取らせるために残業させない」という観点はあまり聞きません。さらには、「いまは比較的ゆとりがある時期だから、少しゆっくりしていいよ」といった指示はほとんどなく、全ての社員がいつ何時でも100%の力で仕事に臨むことを求める風潮さえあります。

「人員に余裕がある組織が長続きする」ことを証明する3つの事例

しかし、全員がいつも全力で仕事に臨む組織よりも、人員に余裕を持たせた組織の方が長続きすることは、生物学的にも証明されています。

事例1:集団の中で必ず働かないグループが出現する「働きアリ」

例えば、働きアリの集団の中には、常に2~3割の割合で働かないアリが存在します。働かないアリを除いて働くアリだけでグループを作っても、その中でまた、働かないアリが2~3割発生します。なぜ、働かないアリが存在するのでしょうか。

働かないアリは、働きアリが疲れて働けなくなった時の代替要員であり、集団の長期存続には不可欠な存在だという研究結果が発表されています。

この研究で、働きアリ全員が同じペースで働いた場合と、働きアリと働かないアリが混在して各自のペースで働く場合を比較したところ、働かないアリがいるグループの方が長く存続したという傾向が出ました。このように、働かないアリが常にいるというシステムは、短期的には非効率に思えますが、長期的に見ると組織の存続には欠かせないのです。

事例2:受け入れを制限することでサービスの質を上げる「病院経営」

病院の経営に置き換えて考えてみましょう。

ある病院には、手術室が5室あり、常に手術の予定を入れています。ですが、病院には急患が来ます。いつ、何人来るかは予想できません。その結果、医者の1日のスケジュールは、予定された手術で既に埋まっているのに、そこに急患の手術+急患用の手術室が空くまでの待ち時間が加わり、常に残業を強いられることになって疲労します。それが手術の質が落ちる(つまり医療ミスが発生する可能性が増す)ことにつながります。

これを解決するには、5室の手術室のうち、1室を予備用として常に空けておくことです。当然、予定される手術数も減り、医者のスケジュールにも余裕が出てきます。一見すごく無駄のように思えますが、これで急患に対応できます。医者も、事前に予想できない残業が続くこともなく、適度な休息を取れ、手術の質も上がるでしょう。

事例3:1日のスケジュールに必ず余白を残す「Google」

仕事に余裕を持たせることの重要性は、大企業ほど分かっているようです。

例えばGoogleは、勤務時間の20%を自分のプロジェクトに充てることができる「20%タイム」を設けています。Gmailなどの、Googleが提供しているサービスの50%は、このゆとり時間から生まれました。具体的には、1日8時間なら約1時間半は、会議を入れたりせず、自分の時間として使えるということです。

これに対して、残業する人は、1日のスケジュール一杯に会議等が入っています。そのため、トラブルなどの突発事項への対応や自分の作業などは、すべて残業時間に行わざるを得ません。ひどい会社では、皆がこの状態で、それが当たり前になっています。予定外の事態に対応する時間は計算されておらず、全員が常に健康でいることが必須条件となっています。

これは、働きアリに例えると、会社の全員が働きアリでフル稼働している状態です。先ほど、働きアリの話を読んだ時に、「代わりがいる方が、組織が長続きするのは当たり前だ」と思いませんでしたか?無関係なアリの話なら冷静に判断できるのに、自分が所属する組織の話だと、その問題点に気づかないものです。

体力や健康は有限。全員がフル稼働の組織は長続きしない。

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では、皆さんの働き方や組織を長持ちさせるためには、どうするのがよいのでしょうか?

言うまでもなく、皆さんの健康な体は財産です。しかし、この財産は有限です。健康を過信して働きすぎると、知らぬ間に財産を失っていることもあります。皆さんの会社に「20%タイム」がなくても「一人20%タイム」を実行してみたり、予定外の事態に対応できる「余裕時間」を常に意識してスケジュールを組み立ててみたりするなど、今日からできることはたくさんあります。

また、皆さんが管理職なら、部下全員をフル稼働の働きアリにしないことを意識するとよいでしょう。

例えば、部下が3人いたとして、Aさんは大きな仕事を任せているため、フル稼働になっています。BさんとCさんは、まだフル稼働ではありません。ここで、「BさんとCさんは『まだ本気を出していない』。もっと働かせよう」と思うのではなく、突発で発生する新規の仕事や、Aさんに盲腸などの想定外の事態が起こった時の予備として、2人を温存しておきましょう。

自分の体力や部下などの有限の財産を、いま全力で使い果たそうとせず、長持ちさせるためにはどうしたらいいかという新しい視点を加えてみてください。

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ニャート
元編集者。過労で退職→ニート→派遣の底辺人生コンボ経験から、主に労働問題について書いています。 ブログ:「一橋を出てニートになりました」
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