2016/06/02 公開

過労で退職した筆者が物申す。世界で2番目に有給消化率が低い日本企業は”有給を取りやすい仕組みづくり”が急務である

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筆者:ニャート 元編集者。過労で退職→ニート→派遣の底辺人生コンボ経験から、主に労働問題について書いています。
ブログ:「一橋を出てニートになりました

今年の4月から「年5日の年次有給休暇を、従業員に取得させる義務」が企業に課されるようになった。 政府は2020年までに有休取得率を70%に引き上げるつもりだ。 いま「そんなの無理」と思ったあなた。 あなたが体感している通り、日本は『有給』休暇という観点では遅れている。

日本が『有給』休暇において遅れている理由

日本が有給休暇の制度において遅れている理由の一部として、下記が挙げられる。

・病気休暇がない ・Paid Public Holidays(有給祝日)がない ・有休取得率が世界で2番目に低い

海外には、『有給』(=給料をもらえる)の病気休暇と祝日がある国も多いのだ。

有給は減らさずに病気を理由に休める”病気休暇”が、日本にはない

海外の多くの国では、「病気休暇」(Sick Leave) が法律で定められている。 (ソース:Sick leave – Wikipedia

病気休暇:病気のための休暇。休んでも給料がもらえ、通常の有休は減らない。正社員だけではなく、アルバイトやパートタイマー等も使える。※日数と金額は国によって異なる

日本にも「傷病手当」があるが、連続する3日以上を含む4日以上の休みという条件があり(申請が必要)、4日以下の休みには適用されない。金額も有休より少ない(約3分の2)。

さらに、アルバイトやパートだと、たとえ権利として認められていても、職場の雰囲気から有休を使うのは難しく、病欠=無給となることが大半である。 病気休暇という概念がないため、有休を申請すると、頭の固い上司に「有休は病気の時以外は使うな」と叱責を受けることすらある

日本には Paid Public Holiday(有給祝日)がない

「Paid Public Holiday」とは日本にはない概念だが、給料をもらえる祝日(公休日)のことである。 (ソース:List of minimum annual leave by country – Wikipedia と言うと、月給制の正社員は「日本でも、祝日休んでも給料は減らないよ?」と思うかもしれないが、もともと月給には祝日分は入っていない。

月給制の場合、祝日数や休暇に左右されず、毎月同じ金額が支給されるように、365日から会社ごとの年間休日数を引いて1年間の総労働日数を出し、それを12で割った平均値を毎月の所定労働日としている。時給制のパートや派遣社員なら、祝日は無給であることを肌身で感じているだろう。

(出典:European Economic and Employment Policy Brief “No-vacation nation USA – a comparison of leave and holiday in OECD countries No.3 – 2007”のデータを元に筆者が作図)

上のグラフは、OECD加盟国において、法律で定められた年次有給休暇(赤)とPaid Holidays(青)を合算したものだ。Paid Holidaysは、日本は0日だが、多い国では13日もある。アメリカはどちらも0日である。(アメリカでは、有給休暇は法律で定められていない。高所得層の場合は、会社との契約の中に有休の条件も入っているため取得できる)日本はアメリカよりはましだが、他の先進国と比べると遅れていることがよく分かるだろう。ただ、日本は祝日数は多く、世界3位である。無給だが。

日本は有休消化率が世界で2番目に低い

(出典:Expedia’s 2015 Vacation Deprivation Study: Europe Leads World in Paid Vacation Time While Americans and Asians Lag | Expedia Viewfinderのデータを元に筆者が作図)

上のグラフは、世界26ヶ国における有休の支給日数・消化日数・消化率の平均値である。(アメリカは法定有休はないが、実際は企業との契約において有休が支給されており、その平均値である)日本の有休消化率は、世界で2番目に低い。これでも改善された方で、2014年に今の順位になるまでは、7年連続最下位だった。消化率も低いが、支給日数の平均値自体もやはり低い。

過労で倒れてからでは遅い。「有給を取りやすい仕組みづくり」は急務である

まとめると、日本は他の先進国と比べて、無給の祝日は多いが、有給の休暇が少ない(病気休暇・Paid Public Holidayがなく、有休の日数も少ない)。さらに、有休消化率も悪い、ということになる。

私は出版社で働いていたことがあるが、有休は病気の時しか使ったことがなかった。 周囲も、有休を病気以外で取っている人は少なかった。とにかく忙しすぎた。会社が閉まる時間は決まっていたが、その後も持ち帰って仕事をし、土日も家で仕事をしていた。12月から1月が最も忙しかったので、年末年始も家で働いていた。 残業代は出たが、一定時間を超えると指導が入るため、それ以上の残業代はつけていなかった(サービス残業)。

だから、当時の私にとっては「病気の時のみ許される休み」、それが有休だった。だが、そのように働き詰めだと、遅かれ早かれ体を壊すことになる。結局私も、過労で倒れ、出版社を退社している。 もっと気楽に有休を取ってリフレッシュできていたら、過労に陥る前にどこかで修復できたかもしれない。

人事部の皆様には、日本が「休みを取る」という面で遅れていることを認識していただき、社員が有休を取りやすい仕組みをぜひ考えていただきたい。

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ニャート
元編集者。過労で退職→ニート→派遣の底辺人生コンボ経験から、主に労働問題について書いています。 ブログ:「一橋を出てニートになりました」
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