2016/10/19 公開

人事だけでは何もできない!? 売り手市場を乗り切る全員採用体制づくりに必要なものとは

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筆者:かるび 1975年生まれ、東京都在住。前職は都内システム開発企業にて人事・採用を主に担当。 40歳を機に、17年間のサラリーマン生活を一旦休止し、期間限定の自主的なサバティカル生活へ突入。 現在は主宰ブログ「あいむあらいぶ」にて日々の雑記を更新中。ブログ:あいむあらいぶ Twitter:@karub_imalive

マネたま読者の皆様、こんにちは。

さて、2016年も後半戦に入って、気がついたら今年ももう残り3ヶ月。良いのか悪いのかよくわからないまだら模様の景気ですが、有効求人倍率は一向に下がる気配がありません。人材市場は空前の売り手市場が続いていますね。

企業側からは、人材難で「とにかく採用が厳しい」「いい人が採れない」という声がますます大きくなってきています。特にサービス業などでは、人材さえいれば儲かるのに……と、採用がボトルネックになり、収益を伸ばせないでいる会社が増えていますね。

この超売り手市場に対して、「こうすれば人が採れる」という特効薬みたいな対策は残念ながらありません。結局、良質な人材を確保するには、採用の基本である「いかに効率的・効果的に採用活動を行うか」にかかっているわけです。

採用で成功するカギは、“人事以外”の協力体制にあり

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ネットや雑誌、ソーシャルメディアなどをよく見ていると、こんな時期でも結構良い人材を安定的に確保できている会社はちらほら見かけます。正直なところ、うらやましいですよね。一体どうやったら人が来るんだろう?と思いませんか。

実は、よくよく観察してみると、厳しい状況をものともせずに採用に成功している会社には、共通している取り組みがあります。

それは、「人事・採用担当以外の社員の協力体制がしっかりしている」こと。言い換えると、「会社組織」全体で、採用活動が効果的に行えているということです。

「イベント型採用」は人事だけでは動かせない

以前、Yahoo!Japanのトップページで「新卒にマージャン採用」の動きが広がる、という記事がありました。

<就活>マージャンで内定リーチ 採用に導入、勝負勘見極め

最近流行している「イベント型採用企画」の最新形態としてブレイクの兆しがあるようなのですが、これ以外にも「無人島採用」「オリエンテーリング採用」など、ユニークなイベント型採用が注目を集めています。

また、インターンシップを活用した青田買い、学校との関係強化や、リクルーター制度の復活、制度強化など、積極的に人材を採りにいく、様々な動きが見られるようになりました。

このように、採用手法はより高度化し、さらに多様化しているのですが、これら採用手法はどれも従来のオーソドックスな面接+筆記試験による選考に比べると、遥かに工数がかかるのが難点です。

「なんかウチもここらでぶち上げないとなぁ……」と人事部長が息巻いたとしても、人事部や採用担当単体では何も出来ません。高度なイベント型採用を実現し成功させるためには、献身的に手伝ってくれる社内の協力者が一定数確保できていることが最低条件。上述したとおり、社員も巻き込んだ「組織的な協力体制」が不可欠です。

ボツになった「登山採用」。問題はマンパワー不足

実際、僕の前職でも、かなり前にこういったイベント型採用の一環として、「登山採用」をしよう、という企画がありました。3000m級の山に、会社の役員と一緒に登りながらコミュニケーションを深め、無事山頂に登り切ったところで役員が選考希望者と面接。良ければそこで一発合格を出そう、というユニークなアイデアでした。

でも、結局それはボツとなります。

なぜボツになったかというと、理由は単純明快で、会社組織としてのマンパワー不足。求職者(この場合は新卒でしたが)を安全に山頂までガイドし、イベントを実行するにはどうしても活用できる人材や予算が一桁足りなかったのです。

まさに、協力体制の構築、社員の動員が壁となって断念せざるを得なかった点で、イベント型採用の難しさを実感させられました。

自ら旗振り役になることが第一歩

それでは、どうすれば社内の協力体制を取り付け、組織力を必要とするイベント型採用を成功させることができるのでしょうか?

その答えはシンプルです。採用担当であるあなたが旗振り役となり、長期的視野に立って少しずつ協力体制を作っていくしかないのです!まずはあなた自身が、本気で取り組んでいる姿勢を社内に向けてアピールすることで、協力体制を築く第一歩を踏み出しましょう。

全員採用の実現に向けて覚悟が決まったら、次に目指すのは社内協力者の「核」となるキーマンを押さえることです。

全員採用体制を実現させるキーマンはどこにいるのか

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僕が考える全員採用におけるキーマンは、大きく2階層の人材に分かれます。

一つは、経営トップたる、社長です。全員採用を成功させるには、まず組織のトップである社長に直談判できるくらいのパイプは欲しいところ。全員採用の重要性やその体制構築に対して、社長の指導力を活かしたトップダウンでの協力を依頼します。社長に直接話せなかったとしたら、せめて人事労務担当の役員には話を通しましょう。

トップを押さえることがなぜ大事なのでしょうか?それは、全員採用を実現するには、様々な社内調整をする必要があるからです。例えば業務シフトの組み換えや、残業代の調整、またそれを実現するための社内ルールや就業規則の修正など、山積する課題をトップダウンで一気に片付けないと、山は動きません。人事部単体では、到底そこまで利害調整を迅速に片付けることは不可能ですから。

そして、キーマンのもう一つの居所は、ずばり「若手社員」です。斬新なアイデアを投入するイベント型採用での主役は、絶対にオジサンではありえません(笑)。これだけは断言しておきます!まず勢いがあって活きのいい、既存の仕組みや思い込みにとらわれず自由な発想を持つ若手社員しか務まりません。

また、各種イベントでターゲットとなる求職者も、新卒や第二新卒など若年層が中心となるはず。そうした若い人を採用するには、彼らの気持ちが理解できて、感性が近い若い社員を先頭に立ててアピールするのが常道です。つまり、イベント型採用とは、実質上、若手社員と若い求職者をマッチングさせるスタイルの採用手法なのです。

そのためにも、普段からよく若手社員を観察しておきましょう。部下の面倒見が良い人、人材育成が好きな若手社員を所属部署関係なく、まんべんなくピックアップして、普段から声がけを欠かさないようにします。ビジュアル的にイケている若手社員であれば、なお良しです(笑)。

地道に社内広報活動を続けて全社員を巻き込んでいく!

これは、会社規模によっても違ってきますが、数十名以上の会社であれば、社内での定期的なコミュニケーションを図るための様々な機会があるかと思います。例えば、社内報や社内の全員会議、あるいはブロック会議など。また、社内SNSやメーリングリストなども使っている会社も多いでしょう。

全員採用を成功させるのであれば、こうした社内での広報活動は手を抜かず、どんどんやる必要があります。また機会があれば、会議の場などでアピールして一言喋らせてもらいましょう。そこで、人事部の採用活動の現状や取り組み内容、全員採用活動の重要性を訴えるのです。

すると、必ず反応があります。採用活動や人材育成に興味を持っていたり、理解が深い社員からは、個別に「やってみたいです」という打診があったりしますから。

こういったところで全員採用の必要性についての「教育」を行うとともに、良い人材のピックアップを行うことができるのです。

実際、僕も前社で、全社員が一堂に会する「全体会議」や、社内グループウェアを活用して、毎月のように採用活動実績と、現状の課題や反省点を報告し、イベントがあるときはそこで協力者を呼びかけるようにしていました。

こうした地道な活動があると、何かイベントを行う際に声がけすると、スムーズに協力してくれるようになります。最終的には、人事部の担当者の熱量が、若手社員を動かすのです。

新入社員は貴重な戦力。内定出しの段階から声がけを

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実は、イベントや全員採用において、意外なことにもっとも力を発揮してくれるのが、若手社員の中でも特に若い「新入社員」たちです。一番若くて、良い意味でも会社のカラーに染まり切っていないということは、求職者の立場に立った視点で物事を考えられるということ。イベントでは求職者たちとの橋渡しをスムーズに行ってくれる戦力として期待できますよ。

中でも新卒社員の場合、入社して最初に親密になる社員が人事部の採用担当者です。こうした立場を逆に利用して、内定出しの段階から「次年度は逆に採用活動への協力をよろしくね!」といったような声がけをしておくのがいいでしょう。

採用の成功につながる根回しを着々と

全員採用体制が構築できれば、特殊なイベント型採用への対応や、インターンシップ、合同企業説明会への参画など、様々な局面でスムーズに採用活動が進みます。そのためにも、イベント間近になって急に声をかけるのではなく、経営トップから若手社員まで、全員採用のキーマンとなりうる人材には普段から声をかけ、根回ししておくことが何よりも大切であることを覚えておいてください。

そして、社内協力体制の構築は、長期戦です。それこそ、1年や2年かかっても構わないくらいの大きなテーマでもありますので、あせらず、じっくりと行うようにしてくださいね。

それではまた。

かるび

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