2016/10/14 公開

イメージダウン、訴訟リスク……害悪な圧迫面接がなくならない原因は身内にあった。

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筆者:かるび 1975年生まれ、東京都在住。前職は都内システム開発企業にて人事・採用を主に担当。 40歳を機に、17年間のサラリーマン生活を一旦休止し、期間限定の自主的なサバティカル生活へ突入。 現在は主宰ブログ「あいむあらいぶ」にて日々の雑記を更新中。
ブログ:あいむあらいぶ
twitter:@karub_imalive

マネたま読者の皆様、こんにちは。今日のテーマは、「圧迫面接」についてです。

採用面接において、長年「ストレス耐性」を見るために使われてきた「圧迫面接」ですが、新卒採用の売手市場が続く現在は、圧迫面接のもたらすデメリットが大きいとされています。

採用面接の最前線に立つ企業の人事担当にとって、圧迫面接を行うことの害悪はすでに共通認識になり始めているといえるでしょう。

しかし、実際はまだまだ採用の現場で圧迫面接は根強く残っています。それはなぜなのか。意外なところにその理由があるんじゃないか。という僕の見解を、今回少し書いてみたいと思います。

あなたの目の届かないところで、事件は起きている!

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学生などへの統計データからも明らかなのですが、圧迫面接は、企業イメージを大幅に傷つけます。内定辞退など、今現在の採用活動に大きく悪影響が出るだけでなく、ネット上での悪評が将来にわたって企業イメージを低下させ続けるからです。

加えて、コンプライアンス面での懸念もあります。圧迫面接は、面接官から一方的に罵倒・批判するスタイルが「パワハラ」、「人権侵害」として求職者側からの訴訟リスクもはらんでいます。

これらの不利益から、あえて、現時点で圧迫面接を意図的に仕掛ける会社なんて、ほとんどなくなりつつあります。少なくとも、「ストレス耐性を見たい」というメリットに比較すると、デメリットが大き過ぎるようにも思います。実際、僕の知り合いの人事担当者でも、明確に意図・戦略を持って「圧迫面接をしている」会社は1社もありませんでした。

ところが、求職者側に視点をうつすと、新卒採用において全体の1割程度は、「圧迫面接」を受けた経験がある、というアンケート調査結果もあります。

このように、採用担当の現場では、未だに圧迫面接がなくならないのはなぜなのでしょうか?

それは、採用担当以外の採用選考に関わる人が無意識のうちに、「偶発的に」圧迫面接をしてしまっているから。採用担当である貴方自身は気をつけていたとしても、目の届かないところで事件は起こっているのです。

では、どのようなケースで圧迫面接は行われてしまうのか?僕自身の体験談も含め、代表的な例を見てみたいと思います。

例1:「君はさぁ…」若手社員やリクルーターが暴走し、お説教モード

特に若い人材を採用する際には、目線や立場、年齢が近い若手社員を面接担当やリクルーターに配備したほうが、より共感を作りやすいため、有効だとされていますよね。

たしかにオジサンが上から目線で構えた面接をするよりも、フランクな姿勢で話題が合いやすい若手同士で話をしたほうが、求職者側にとっては親近感がわき、何よりも「若い会社だな」と思ってもらえるプラス効果が生まれます。

ただし、逆効果になる時があります。それは、若手社員が暴走してしまったとき。目線や立場が近いだけに、しばしば調子に乗った若手社員が、面接官という立場を超えて説教をしてしまったり、あるいは、虫の居所が悪くて、急に高飛車な面接を仕掛けることがあります。若さゆえ、感情の制御が効かなくなった結果、求職者側に「圧迫面接」ととられても仕方ない失言をしているケースがあるのです。

例2:「俺が若い時は…」さらに厄介な経営者層の上から目線

これは、特に中小企業等の最終面接などでよく起こります。最終面接の面接官を担当する創業社長や、何十年も会社にいる大番頭クラスの役員が、大上段から構えて面接をしてしまうケースです。

よくよく状況を確認してみると、彼らとしては普通に面接を行っているだけだったりします。長年の管理職生活で知らず知らずに身についた「上から目線」での接し方や、年齢ギャップや見た目などから、求職者側がしばしば「偉そうだな」と圧迫されていると感じてしまうケースがかなりあります。

また、叩き上げで身を立て、自分自身の仕事や生き方に持論がある経営者の場合なども危ないといえます。ちょっとした面接の進行のアヤで、求職者側が経営者の気に入らない回答をした場合に、感情的になってその場で説教モードになってしまうこともよく見かけます。「最近の若い者は……」、「俺が若い時は……」的なアプローチですね。

さらに、そもそも中年以上になってくると、何かと喋りが長くなるものです。面接をしているつもりでも、ついつい知らない間に「採用面接」での面接官、という圧倒的に有利な立場を利用して、独演会状態になってしまっているという……。

こういった、コントロールが難しい経営者層の暴走や、採用面接への無理解、ジェネレーションギャップなどの要素が絡みあった時に、自然と求職者側から「圧迫面接」だととらえられる雰囲気ができあがっていることが多々あります。

僕も、40代となった今でこそ、まったく苦にならなくなりましたが、20代の若い頃は、仕事や面接で50代以上の男性と接する時、彼らのことがさっぱり理解できませんでした。職場でも上から目線で話をするケースが多かったし、彼らとの宴席は正直きつかった思い出しかありません。ジェネレーションギャップに由来する断絶や無理解は、思った以上にあると思ったほうがよいでしょう。

「望まない」圧迫面接を回避するための対策は、粘り強い「教育」。

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これは、もう採用担当である貴方自身の「教育」にかかっているといえます。とにかく、彼らに面接をお願いする前に、求職者とどう接するべきなのか、社内で一番知識や経験がある貴方が主導権を取って粘り強く「教育」していくしかありません。

対策1:若手社員とリクルーターの暴走を防ぐためのヒントは、講習会とドキュメント。

リクルーターや面接へ同席してもらう若手社員へ教育する場合は、それほど難しい話ではありません。事前に「講習会」を実施したり、「面接官マニュアル」「採用面接ガイドライン」といったドキュメントを作成・配布しておきましょう。

また、面接をお願いする直前に、ひとことクギを刺しておくだけでもだいぶ違います。これにより、若手社員の暴走はほぼ制御することができます。

対策2:中高年経営者には、粘り強く何度も話し合いを。

問題は、貴方より年上の中高年管理職や、経営者に対する「教育」です。

もちろん、講習会などは有効な手段ではあるのですが、経営者に対して改まって講習会に出席させるのは難しいでしょう。また、マニュアルを渡しても、おそらく読んでくれない可能性が高いと思います。

そういう場合は、粘り強く1対1の場面や会議の場で、お願いする雰囲気を作っていくしかないと思います。彼らに恥をかかせることなく、じっくり何度でも話し合いを積み重ねていくしかありません。

または、彼らに影響力のある、あるいは話がわかる上職から指導してもらうのも非常に有効です。実際に、僕は現役時代に、社長から問題のある中高年管理職に対して直接指導をしてもらうようにお願いをしていました。

対策3:厳しい質問をしなければならない時には、その旨をクリアにしておく。

ただし、採用面接の場で、どうしても厳しい質問をしなければならない局面は出てくると思います。例えば、経歴書上に矛盾点が感じられた時や、入社してからの業務に必要な用面接の場で、どうしても厳しい質問をしなければならない局面は結用面接の場で、どうしても厳しい質問をしなければならない局面は結聞いておかなければならない厳しい質問事項がある時などです。

こういった質問は、何の工夫もなく普通に聞いてしまうと、後日求職者側から「圧迫面接を受けた」として、入社辞退やネット上での風評拡散につながってしまうリスクが高くなります。

そこで、僕の実体験も踏まえておすすめしたいのは、「厳しい質問をする前は、あらかじめ求職者側にその旨をクリアにしてから聞く」という手法です。具体的には、こんな感じです。

面接官:(笑顔を作りながら)「それでは、次の質問なのですが、ひょっとしたら少しあなたにとって厳しいか、不快に感じる質問になるかもしれません。だから、もし、回答したくないのであれば、答えなくてもいいですからね。大丈夫ですか?」
求職者:「はい。大丈夫です」
面接官:「では、~~~(以下質問内容が続く)」

このように、厳しい質問を入れる前に、ワンクッション断りを優しく入れてから質問してみましょう。これなら、まず間違いなく厳しい質問を直後に入れてもOKになりますし、回答する側も、真摯にベストな回答をリラックスして出してくれるようになります。

実際に、今までこの聞き方をして、不快な表情をされたことはありませんし、感情的に回答を拒否されたこともありません。もしよければ、現場で使ってみてくださいね。

採用担当者の真摯な呼びかけが、圧迫面接を撲滅させる!

「圧迫面接」が、ストレス耐性を確認するための必要悪とされる時代はとっくに終わりました。やればやるだけ、企業側が損をする時代です。にもかかわらず、圧迫面接がなくならない理由は、同僚や上司の採用面接への準備不足や教育不足による「偶発的な」原因にあるのではないだろうか、というのが僕の見解です。

そして、こうした採用活動への無理解から生じる失敗は、採用担当である貴方自身が起点となって、真摯に粘り強く社内で教育し啓蒙活動を続けることにより、大半は解消していきます。誰しも良い人材、良い仲間に入社してもらいたいのは一緒ですからね。

ぜひ、落ち着いた時でいいので、貴方の会社で、本当に圧迫面接が行われていないかどうかチェックしてみてください。たまに抜き打ちで面接に同席してみましょう。案外、無意識のうちに貴方の同僚や上司はやらかしているはずですから。

それではまた。
かるび

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