2016/07/07 公開

見切り発車での取り組みは危険!ソーシャルリクルーティングに取り組む前に抑えたい5つのポイント

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筆者:かるび 1975年生まれ、東京都在住。前職は都内システム開発企業にて人事・採用を主に担当。 40歳を機に、17年間のサラリーマン生活を一旦休止し、期間限定の自主的なサバティカル生活へ突入。 現在は主宰ブログ「あいむあらいぶ」にて日々の雑記を更新中。
ブログ:あいむあらいぶ
twitter:@karub_imalive

人事タックル読者の皆様、こんにちは。

2014年頃から慢性的に人材マーケットでの超売手市場が続く中、高騰する採用単価を何とかしたい、あるいは、新しい採用チャネルとして、潜在的な求職者の掘り起こしに取り組みたい!企業を中心に、ソーシャルメディアを活用した、いわゆる「ソーシャル・リクルーティング」が徐々に浸透してきています。

このソーシャル・リクルーティングですが、確かに、上手く活用できればコストを抑え、思わぬ優秀な人材と出会える新たな採用手段となります。しかし、現実的にはなかなか取り組み始めた最初からすぐに使いこなして、成果を上げている会社は非常に少ない状況です。

ソーシャル・リクルーティングが難しい理由

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では、なぜソーシャル・リクルーティングで成果を出すのが難しいのでしょうか?

それは、ソーシャル・リクルーティングが、既存の採用手段で通用したノウハウや知見がそのまま通用しないからなのです。やってみるとすぐわかりますが、例えば、典型的にぶち当たる壁としては「ソーシャルメディア上でどのように求職者とコンタクトしたらいいのか?」「どのように求職者と、コミュニケーションを取るべきなのか」といった基本的なコミュニケーションにおけるアプローチ的な部分です。

不思議なもので、私たちは日常的にプライベート等でFacebookやTwitterと慣れ親しんでいるにもかかわらず、それを仕事で活用する段になると、難しく感じるものなんですよね。やはり、仕事とプライベートでは感覚が違うからでしょう。各ソーシャルメディアの特性を理解し、適切なネット・リテラシーを保ちながらスムーズな交流を取るところでつまずくわけです。

そして、もう一つの難しいところは、ソーシャル・リクルーティングにおける事前準備や業務プロセスの在り方、日常的なオペレーションをどう構築するかということです。

ソーシャルメディアといえば、『簡単にできる』『コストがかからない』『お手軽』というイメージが先行しますよね。しかし、それは自由気ままに使う個人だからこそ。ソーシャルメディアを採用ツールとして使うときには、それはまったくあてはまりません。企業として、採用実績や、費用対効果といった具体的な成果を求められる中で、いきあたりばったりでイージーな運用をしていても、全くうまくいかないわけです。

ということで、僕が現役時代にソーシャルメディアを使った採用で失敗した体験談を交えながら、少しポイントを説明してみたいと思います。

ソーシャル・リクルーティング運用のポイント

一口に、ソーシャルメディアを採用活動に使うと言っても、事前準備として運用前に検討しなければいけない事項としては、例えば、

 ・どのソーシャルメディアを活用するのか
 ・採用フロー上、どこまでソーシャルメディアを活用するのか
 ・既存の採用プロセスとどう整合性を取るのか
 ・求職者とのコミュニケーションの在り方はどうあるべきなのか
 ・会社の既存の情報セキュリティ規約・コンプライアンスとの整合性は問題ないか
 ・更新頻度や、全体の工数はどれくらいかかるのか
 ・上司や社内のキーマンへの説明や協力体制をどう構築するか

と、検討事項はかなり多岐に渡ります。これらを一つ一つていねいに潰していかなければなりません。この中から、僕が特に大事だと思う5つのポイントをピックアップしてみたいと思います。

1: ソーシャルメディアにかかる工数について、前もって見積もりをしておく

僕が、前職で、当初ソーシャルリクルーティングにおいて失敗した最大の原因は、深く運用工数のことを考えず、拙速に採用ブログ、Twitter、Facebookとなし崩しでスタートしてしまったことです。まぁ、やればできるだろうみたいな。

しかし、これが全くの計算違いでした。例えば、Twitterでも1日数回気の利いたコメントをつぶやくにはそれなりに内容を考えないといけませんし、Facebookは写真付きの良い感じの社内関連トピックを仕入れておく必要があります。また、採用ブログに至っては、文章をまとまって書くことに慣れるまでは、1本書き上がるまで2時間、3時間はかかります

すると、例えば標準的な1日の労働時間を8時間として、気づいたら半分くらいの時間をソーシャル関連で食うわけです。通常業務なんてやるヒマなくなっちゃいますよね。片手間では全くできません。最初は面白がって残業時間でこなしていたとしても、毎日に事になると、当然これが回らなくなるわけです。

だから、まずスタートするときは、既存の業務範囲内でこなせるのかどうか、あるいは要員を追加しなければいけないのか、工数の見積もりをしっかりとやっておきましょう。残業対応が必要なのであれば、その工数をきちんと業務として前もって上司や必要部署にわかってもらう必要があります。

2: 経営陣に対してコンセプトを説明し、業務フローや費用対効果、効果測定方法などきっちりと理解してもらう

最近こそ一部BtoC系企業の経営者は、年長者であっても、ソーシャルメディアの影響力や重要性を理解してきてはいますが、恐らく大半の企業の役員層・経営層では、あまりSNS等に日常的に触れていない人が大半だと思います。「Twitter?名前くらいは聞いたことあるけど?そういうのは若いのにまかせておけばいいんだよ!」レベルの人がまだまだゴロゴロいます。極端な話、わりと高年齢な役員はソーシャルメディアを何もわかっていないと思ったほうがよいでしょう。

しかし、口も出すし、財布を握っているのはそういった経営者層です。だから、まずソーシャル・リクルーティングに本格的に取り組む場合は、何よりも社内のキーマンである役員・経営層にわかりやすくコンセプトを説明し、業務フローや費用対効果、効果測定方法など、きっちりと理解をしてもらいましょう。でないと、「こんなの片手間にできるだろう!なんで成果が上がらないんだ!!」みたいなことを必ず、しかも突然言い始めます(笑)。

僕も、思い当たる苦い思い出がいくつもあります。
たとえば、ソーシャル・リクルーティングで既存採用媒体との連携を図る際、予算外にて専用ランディングページ(応募促進用の1枚もののウェブページ)の制作を企画しました。ソーシャルメディアからの応募者へ、採用情報と応募フォームを提供する、まさにソーシャル採用の要として考えていた仕掛けでした。しかし、これが何度説明してもなかなか外注費予算の承認が降りず、役員を説得しきれずに運用を徹底できなかった苦い思い出があります。この時は、半年間停滞しました。

是非、取り組む前に、役員にできるだけ100%内容を理解してもらっておいてくださいね。あるいは、年始に予算取りをする際に、急遽の対策費用についてあれこれと盛り込んでおくのも非常に有効だと思います。

3: カメラマンといった社内の協力者と、事前の段取りをしておく

ソーシャルメディアと親和性が高いのは、ガチガチのビジネスコンテンツや、フォーマルな採用情報ではなくて、カジュアルなコミュニケーションとなります。例えば、リアルタイムでの社内の様子や、仕事中の社員が見せる普段着な表情、社内イベントでの楽しい風景と組み合わせた情報発信ですよね。そのコンテンツの鮮度やクオリティを決める生命線となるのは、何と言っても良質な「写真」です。

でも、それらの生きのいい写真は、タダで手に入るわけじゃないんです!

個人情報やコンプライアンスの意識が希薄だった10年前ならいざしらず、今は顔出しNGな社員もいれば、事前準備もなく撮影した写真に重要資料が映り込んで掲載NGになったりと、何の段取りもなく良い写真は手に入りません。

社内で被写体になってもらいたい協力者や、キーマンへのインタビュー、それから社内イベントでの写真撮影許可など、良い写真を撮ろうと思ったら、社内的に事前の段取りが絶対に必要です。

また、社内で腕前の良いカメラマンを協力者にしておくと良いと思います。写真撮影は、センスがモロに出ますからね。僕は、写真撮影がすごく下手くそなのを自覚していましたので、そうそうに写真好きの人にここぞという機会の時は、協力をお願いしていました。

4: 緊急時を除き、業務時間外はメッセージの対応をしない

さて、実際にソーシャルメディアを採用に活用しだすと、求職者との双方向でのコミュニケーションが発生します。Facebook、Twitter、LINE等、ソーシャルメディアはタイムラインでログが流れていく仕様上、時間感覚は非常にタイトです。やり取りは頻繁に行ないましょう。できれば1日最低2,3回はチェックして、その日中にレスポンスを打てるようにしておきたいです。

ただし、やり過ぎには注意です。緊急対応時以外は、業務時間外では対応しないほうがいいでしょう。土日祝日、業務時間外の対応は必要ありません。うっかり、土日や深夜帯にリアルタイムでレスを返してしまうと、「この会社は大丈夫なのだろうか?」と労務管理を疑われますし、また、求職者側にも変な甘えが出てしまいます。

僕も、使い始めた頃はついついレスポンスがあると嬉しくなってしまって、深夜や土日にも気さくにレスをしていました。すると、求職者側からも、面談の設定などを、「平日業務時間終了後の22時にお願いします」とか、ルーズなお願いをされることが増えてきます。
………そんなの対応できませんよね。

だから、ソーシャルメディアとは言いつつも、密な対応は業務時間内にとどめておき、きっちりと線を引いておくことをおすすめします。

5: 応募者の志望動機を高めてから、選考に進んでもらう

いや、正確に言うと、応募者は来ます。業務プロセス設計にもよりますが、直接ソーシャルメディア上で応募管理もやってしまうのか、書類選考~面接以降は、従来通りフォーマルな既存の採用フローへ乗せていくのかはそれぞれの会社次第です。

ただし、ソーシャルメディアが入口となった採用の場合、共通して一番の課題となるのは、「応募者の志望動機をどうきちんと固めていくか」です。

既存の採用選考と違い、入り口がソーシャルメディアとなる場合、メディアの特性上、応募者も気楽な気持ちでアクセスしてきます。応募者からのファーストコンタクトがあった時点では、かならずしも100%選考希望じゃなかったり、まだ迷っていたりする場合がほとんどです。(迷いがなければ、恐らく通常選考ルートから普通に面接に来てくれます)

だから、コンタクトがあったからといって、逃さずにすぐに選考だ!面接だ!と性急に採用選考フローに乗せてしまうと、面接段階で応募者側の気持ちが固まっておらず、応募者の良い所を引き出せない、中途半端な面接となることが多いのですよね。
「何だ彼は、まったくふわふわしてて使い物にならんじゃないか!」と採用面接に同席してもらう上司に突っ込まれたりする機会が非常に増えてしまいます。

したがって、ソーシャルメディアからの応募者については、通常の選考ルートに加え、「どう応募者に興味を深めてもらい、志望動機を高めてもらうのか」それを解決するような別途の説明会的なプロセスが不可欠となります。

ここをめんどくさがってカットしてしまうと、ほとんど選考になりません。僕も、何度もソーシャルメディア経由の人材と、面接アポイントをとっておきながら、当日無断欠席されたり、採用面接で「あれ、こんなにいい加減な人材だったかな?」と首をひねらざるを得ないケースが多々ありました。ソーシャルメディア経由の人材で、採用面接が残念になってしまうのは、応募者のクオリティが悪いのではなく、応募者側の志望動機が高まりきってないのに無理やり選考フローに乗せてしまったからなのです。

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h2>ソーシャル・リクルーティングは手軽に取り組むのではなく、気合を入れて取り組むことが大事。

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ソーシャル・リクルーティングが失敗する大半のケースは、こうした運用上の戦略不足や、事前準備不足によるところが最大の原因です。うまく行かなくなると、ネット上に半放置状態で捨て置かれ、広告効果としてはゼロ、悪くすると逆効果になってしまう………

しかし、ソーシャル・リクルーティングにはまだまだ可能性が大きく眠っています。本格的に取り組んでいる企業数も少ないので、しっかりとやれば、成果は出やすいはずです。やる!と決めたら、粘り強くやることが大事です。

そのためには、まず「手軽に」取り組むのではなく、やるからには本気で業務改善をするくらいの気持ちで、気合を入れて是非取り組んでみてください。試行錯誤して、自分なりの必勝パターンを見つければ、必ずうまくいきます。是非、頑張ってみてくださいね!

それではまた。
かるび

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1975年生まれ、東京都在住。前職は都内システム開発企業にて人事・採用を主に担当。 40歳を機に、17年間のサラリーマン生活を一旦休止し、期間限定の自主的なサバティカル生活へ突入。 現在は主宰ブログ「あいむあらいぶ」にて日々の雑記を更新中。 ブログ:あいむあらいぶ twitter:@karub_imalive
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