2016/01/27 公開

新規事業立ち上げスタッフの採用にはもってこい。「ベーシックインカム」を支払って分かったこと

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こんにちは、「まだ東京で消耗してるの?」を運営しているイケダハヤトです。今日は昨今話題の「ベーシックインカム」についてのお話です。

議論が始まった「ベーシックインカム」

ベーシックインカム、ご存知でしょうか?フィンランドが導入の検討を始めた制度で、その名の通り「生活するために基本的(ベーシック)に必要な収入(インカム)を提供する」仕組みです。

これだけ聞くと信じられない話ですが、ベーシックインカムを導入する代わりに、「年金」や「生活保護」といった社会保障給付は大幅に削減されるか、廃止されるというのが一般的な考え方です。乱暴にいえば「年金とか子ども手当とか面倒だから、一律で給付すればラクでハッピーなんじゃね?」という制度ですね。

一部報道によれば、フィンランドでは全国民に月800ユーロ(約11万円)を支給することが検討されているとか。まだ議論が始まった段階なのでどうなるかは不明ですが、なかなか想像力を掻き立てられる制度です。ある意味でベーシックインカムは「働かなくてもお金がもらえて、生活できてしまう」制度ですからね。

イケハヤ事務所はベーシックインカム方式です。

うちの事務所は、現在5名のスタッフを業務委託で雇っています。事業規模も伸びてきているので、来年は法人化して、スタッフも10名規模にまで増やしたいなぁ…と目論んでいます。となると人事制度、報酬制度も考えないといけません。

で、ぼくが現時点で採用している報酬体系が、まさに「ベーシックインカム」なのですよ。

具体的にいうと、ぼくは彼らに「毎月10~13万円」をベーシックインカムとして提供しています。採用時に「毎月どのくらい生活にお金かかる?」という質問をして、その回答に応じて金額を決定しています。奇しくもフィンランドで議論されている「毎月約11万円」同水準ですね。

これは仕事ぶりとは関係なく提供するお金で、仮に彼らが体調を崩して仕事ができなかったとしても、変わらず提供していきます。さすがに3年は養えませんが、2年くらいならこっちでなんとかします、という感じでやっています。

業務内容は「自分ブログを更新すること」と「自分の事業を立ち上げてもらうこと」。個別で細かい仕事をお願いすることもありますが、それは例外的です。ぼくは、採用したスタッフには最大限自由にやってほしいのです。

なお、スタッフと顔を会わせることはほとんどなく、月に1回あるかないか。メンバー全員、完全なリモートワークで仕事をしています。サボろうと思えばサボれてしまう状況ですが、今のところそうしたトラブルはありません。みなさん精力的に活動してくださっています。

彼らには独立した個人事業主として活動してもらい、自分で立ち上げた事業の収入は、すべて自分の懐に入れてもらっています。「毎月10万円払っているから、売り上げの1割よこせ!」みたいなケチくさいことはしていません。

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ベーシックインカムで人材採用すると、どうなる?

実験的なのでどうなるかわからなかったのですが、採用して半年ほど、やはりこれはいいですね。

最初に採用した矢野大地さんは、ブログで感想を書いてくださっています。

僕は今年の4月に大学を卒業して、現在雇い主であるプロブロガーのイケダハヤトさんにベーシックインカムを受けています。

ぶっちゃけちゃうと、月10万円くらい!

国民健康保険、国民年金、奨学金の返済、生活費、食費など…

雇い主と書いていますが、正直月にイケハヤさんからお願いされる仕事はほぼありません。

そんな僕は毎月ベーシックインカムがあることで、ほんと様々なことに積極的に取り組むことができてるんですよね。

フリーライターとしての仕事も月に何件か持っていますし、まちづくり関係だとかのアドバイザーや講演活動、お金にならないけど社会的に意義のあることだと思える活動なんかも超積極的にできています。ほんと感謝感謝です。

人間の発想力を最大限に引き上げる。ベーシックインカム制度とは…? : 自由になったサル。

直接的に仕事は依頼していませんが、彼はぼくのビジネスの拡大に確実に寄与しています。彼は彼でビジネスを生み出しているので、ぼくに「おこぼれ」が回ってくるわけですね(笑)

毎月10万円を与えて、自力で稼げるようになってもらって、ぼくに仕事を与えてくれる人材を育てるようなイメージでしょうか。会社でいえば、稼げる子会社・関連会社をどんどん立ち上げていく感じですかね

次に採用したサトモトヒロノリさんも、順調にビジネスを立ち上げています。来年の今頃には自力で稼げるようになり、ぼくに仕事を提供してくれる存在になっているのでしょう。どうぞよろしくお願いいたします。

新規事業立ち上げスタッフの採用にはうってつけ。

さて、半年ほどベーシックインカムを試してみて感じるのは、これは新規事業の立ち上げに向いているなぁ、ということです。

矢野さんが書いているとおり、ベーシックインカムがあると「お金にならないけど社会的に意義のある活動」にリソースを費やしやすくなります。

「お金にならないけど社会的に意義のある活動」は、はじめこそお金になりませんが、長い目でやっていけば、結局のところお金になるんですよね。ビジネスの経験がある人なら、頷いてくれると思います。お金にならないことって誰もやらないので、それ自体が差別化になるんです。

起業家精神があるタイプには「ベーシックインカム」を、言われたことを的確にこなす裏方タイプには通常通り「仕事と成果に見合った報酬」を提供するのがよさそうだなぁ、と考えています。

どうでしょう、面白い人事制度だと思いません?うちはしばらく、このスタンスでやっていきます。100人くらいにベーシックインカム給付したら、ぼくの周りはすごいことになりそうな気がしています

というわけで、あなたの会社が新規事業を作りたいと考えているなら、ベーシックインカム方式で人材を採用してみてはいかがでしょうか?正社員というよりは、業務委託で採用するイメージになるでしょう。

大切なのは、ベーシックインカムで採用したスタッフを「信頼」し、同時に「期待しない」ことです。売り上げ目標を与えてしまっては、創造性は制限されてしまいます。ポイントは「安心して金にならないことができる環境」を整えてあげることです。

ときには、スタッフが一ヶ月まるまる働かない月があってもいいでしょう。それでもぼくは、彼らにベーシックインカムを与えます。人間は、怠惰に耐えることはできませんから。

まだまだぼくも実験中ですが、ベーシックインカムは、創造的に働いてもらうための最高の方法だと考えています。

もちろん、ベーシックインカム的な報酬を機能させるためには、「採用」も重要です。というわけで、次回は採用について書いてみようと思います。「採用」もまた、酷い状況がまかり通ってますからねぇ。人事のみなさん、タックルしていきますよ。

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イケダハヤト
1986年神奈川県生まれ。2009年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、半導体メーカー大手に就職。と思いきや会社の経営が傾き、11ヶ月でベンチャー企業に転職。ソーシャルメディア活用のコンサルタントとして大企業のウェブマーケティングをサポートし、社会人3年目に独立。会社員生活は色々と辛かったので。2011年からはブロガーとして、高知県を中心にうろうろしています。 ブログ:まだ東京で消耗してるの?
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