2017/06/23 公開

【後編】「指標はANIとSHINCOの顔色。それだけ」・Bose(スチャダラパー)

失敗ヒーロー!

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コラボレーションで“ないものを作る”

――多くのアーティストとコラボをされているスチャダラパーですが、最近では雑誌『余談』に、のんさんが登場。ジャンルの多彩さに驚かされます。

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Bose(ボーズ)
1969年生まれ。岡山県出身。1988年にBose、ANI、SHINCOの3人でラップグループ「スチャダラパー」を結成。1990年に高木完氏プロデュースによりメジャーデビュー。小沢健二氏とのコラボ曲『今夜はブギー・バック』や『サマージャム’95』などヒット曲多数。EGO-WRAPPIN’とコラボレーションの最新曲『ミクロボーイとマクロガール』とファン待望のスチャダラパー、夏の名曲続編『サマージャム2020』が好評配信中。http://schadaraparr.net

Bose:そうそう、のんちゃんに出ていただきました。そもそも『余談』は僕らが会いたい人に会って、聞きたいことを聞くっていう、かなり自由な雑誌。だからスチャダラパーが「責任編集」という立場を取っているし、完全に自腹です。この自分らで責任を取るっていう意味でも、アルバム制作と何ら変わらない感覚ですよね。目指している形に近づけるため、誰かの力を借りるというか。その誰かを選ぶときに、活動のジャンルは関係ない。

――『今夜はブギー・バック』を制作された際に小沢健二さんの力を借りたのと、まったく同じ感覚ですね。

Bose:この「失敗ヒーロー!」って、みうらじゅんさんも出られていましたよね。大きな意味でいうと、目指しているのは“みうらじゅん”。みうらさんもいろいろな方と手を組んで、いろいろな企画をされているじゃないですか。手を変え品を変え、みうらさんの言葉を借りると“ないものを作る”という感覚に近いのかな。

「友達」の魅力をもっと知ってもらいたい

――例えば、どのような観点でコラボされる方を選ばれているのでしょうか?

Bose:一概には言えないけど、「すごい人とコラボしちゃおうぜ」っていう感じはゼロですね。音楽にしても雑誌にしても、やっぱり最初に出てくるのは友達だから。「こんなことが得意な奴、誰かいなかったっけ?」みたいな。

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だから『余談』ののんちゃんに関しては、かなり珍しいパターンですね。僕らもそこそこの年齢。友達にばかり声を掛けていると雑誌も高年齢化してきて、『一個人』みたいになっちゃうから(笑)。僕ら全員が『あまちゃん』の大ファンだったし、『この世界の片隅に』も3人で見てね、すごく感動したところだったし、雑誌の若返りを図る意図でもオファーさせていただきましたが、本当にまさかですよね。まさかの二つ返事でオーケー。

――人選をされるときには「まずは友達」。一歩間違えるとなあなあというか、馴れ合いに終わってしまう恐れもありますよね。

Bose:作品に対する責任を考えれば、馴れ合いにはならないし、しない。それとね、僕らも結成して30年近くなるから、スチャダラパーの立ち位置を客観的に見られるようになった部分もあって。そこで「スチャと一緒にやったら、この人たちが持っている、何か違った魅力が見せられるんじゃないか?」という思いもあります。友達だからこそ、その人たちの魅力がすごく分かるし、もっと知ってもらいたいし。

SHINCOとANIを翻訳するプロデューサーって?

Bose:こうやって誰かと一緒にやることって、むしろ発奮材。昔は誰かと一緒にやるって、あまり好きじゃなかったの。「このオモロさは、僕らにしか分かんないし」って、スチャダラパーは、3人の秘密基地的なイメージ。『今夜はブギー・バック』にしても、「小沢くんにだけ見せてあげるよ」みたいな。だけど3人だけで長く一緒にやっていると、自分的にはかなり突き詰めて作ったものでも、「その感じね。もっといけるでしょ?」なんて言われることが多くなる。

――長年連れ添った、夫婦のようですね(笑)。

Bose:お互いの思考が分かりきっているからね。そこを別の誰かとコラボすると「さすがっすねぇ!」なんて、あっさり褒めてもらえたりして(笑)。だからコラボって、僕個人からすると、新鮮な空気を吸うような感覚です。そうしていろんなジャンルの方と、いろんな形で関わっていると「こういう場合には、こんなパンチをしてあげるとオモロさが際立つな」というのが見えてくる。この感覚は、スチャダラパーに帰ってきたときにも活かせますし。

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スチャダラパーのインスタグラム公式アカウント「@sdp1990_official」より
https://www.instagram.com/sdp1990_official/
(左から)Boseさん、ANIさん、SHINCOさん

――「こんなパンチをすると際立つ」。プロデューサーのような感覚ですね。

Bose:というかね、スチャダラパーでの僕の立ち位置そのものが、結成当時から、ずっとプロデューサーなんだと思う。正直、僕個人には「こんなものが作りたい」という、強い意志があまりない。それよりもSHINCOっていう、ものすごい曲を作る才能に対して「こんな風に表現したら、もっと伝わらない?」って、翻訳しているような感じ。ANIにしても、悪送球しか投げられない豪腕ピッチャーに対して、ちょっと肩の位置を補整してあげるような(笑)。誰かとコラボするときにも、同じような意識ですね。

『ポンキッキーズ』MCはあの人からの“啓示”

――それにしても多彩なご活躍ですよね。とくにBoseさん個人としては、『ポンキッキーズ』でのMCが印象的です。「なぜスチャダラパーのBoseさんが、子ども向け番組に?」っていう(笑)。

Bose:そうそう、『ポンキッキーズ』ね! あの仕事はね、糸井重里さんが番組のブレインとしていらして、糸井さんが僕の名前を挙げてくれたんですよ。僕らの敬愛するみうらさんの上には、糸井さんが君臨しているでしょ。その糸井さんからのオファーですから、もはや神からの啓示。断れるはずがない(笑)。

だから糸井さんのご指名じゃなければ、受けていなかったかもしれない。だってテレビ番組のMCなんて、単純にやれる自信がなかったから。でも、あの番組に出たことで、自分のプロデューサー的な立ち位置が認識できた気がします。ガチャピンとムックの間に立ってね、視聴者に向けて翻訳する立場だから(笑)。さすが糸井さんは、僕のそういう器量というか、特性を見抜いていてくれたんですね。

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