2016/11/22 公開

【後編】月間最大約2億PV「ウォーカープラス」浅野編集長の大事にしている言葉とは?

思い出す言葉

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編集者は、「きちんと届ける」ということに全力を注ぐべきかなと。そういった対象への熱意の持ち方、距離の取り方という部分は大事にしています。

「60パーセントで毎日戦える」のがWeb媒体。

――KADOKAWAさんは出版社ですから、どうしても労働時間が長くなってしまう部分もあるのではないかと想像します。

浅野祐介(以下、浅野) そうですね。ウォーカープラスはWeb媒体なので社内では比較的短いほうですが、それでも長時間労働をする日は多いと思います。そういうこともあり、弊社の上の人間はかなりワークライフバランスを重視しています。月単位で残業していい時間は決まっていますし、残業は個人の判断ではできません。残業はあくまで上長の指示に伴うもので、上長はその管理を評価として問われます。

――版元では「長時間労働致し方なし」というカルチャーが強い中、かなり珍しいですね。

浅野 そうかもしれませんね。時間管理もかなり細かくやっています。スプレッドシートに全員のTODOを書いてもらい、優先度、その日やること、見込み時間、実際にかかった時間などを毎日記録してもらっています。加えて、僕の下にいるデスクにお願いし、各個人の稼働率等をチェックしてもらい、作業バランスをコントロールしてもらっています。もちろん、全体を等しくは難しい点もあるので、そこはまだまだ課題ですね。
 
ただ、「忙しくてTODOを書く時間がありませんでした」みたいなケースも出てきます。そういう時は、「それは考え方を変えなきゃだめだよ、順番が逆だから」ということを嫌われながら言ってます(笑)。

――細部の情報があまり上がってこなかったりして、苦労されることもあるのでは?

浅野 ありますね、デスクもすべてを完璧に見ることは難しいですから。僕が直接メンバーのTODOに対して何か言うことはあまりないのですが、チェック自体は行なっています。加えてチーム全体で週1の定例ミーティングを行ない、そこで今週やることを各自に発表してもらって、週単位の稼働や動きについて把握しています。

――目下、マネジメントで一番苦労されている部分はどういったところですか?

浅野 人数が多いので、チームの中でも、それぞれで“違い”がかなりある、という部分ですかね。能力もそうですし、責任感の部分でもそうです。僕自身も転職組ですし、年齢構成でいえば年上の人も、僕より社歴が長い人も大勢います。前職ではスタートアップ的な立場で取り組めたのですが、今はそういうわけでもありません。様々な部分でバランスを取る必要があります。そこは、今なお難しい課題として感じています。

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浅野祐介(あさの・ゆうすけ)
1976年茨城県生まれ。KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンでサッカー誌『ワールドサッカーキング』、サッカーサイト『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長としてウォーカー系のメディア事業を担当。

――Webと紙媒体で、マネジメントにおける違いはありますか?

浅野 Webと紙媒体の違いでいうと、「60〜70パーセントで毎日戦える」という部分がWeb媒体の特徴だと思っています。

紙媒体というのは、120パーセントのパフォーマンスを出さないといけない日(たとえば校了日)が存在します。そして、直後には10パーセントの出力でいい日があったりします。あまりなかったりもしますが(笑)。これに対し、Webメディアは60パーセントから70パーセントで毎日戦う部分が特徴かなと。もちろん、そのパーセンテージが高いにこしたことはないですが。

下手なたとえかもしれませんが、「傘をつくる」のがメディアの仕事だとすると、紙媒体はこういう和紙を使い、絵柄はこう、定価は2,000円ぐらい、納期は厳密。要は、自分たちの意向できちんとしたコンセプトを提示する作り方だと思うんですね。

それに対して、Webメディアは「今日は雨が降る」とわかったら、ちゃんとレジの近くにビニール傘を置いておくイメージです。どのエリアに何本置くか、ニーズが発生するタイミングがいつか、ユーザーは今何を求め、何を出せば最適なのか、それをどう届けるか……常に考え続けるのがWebメディアだと思います。「質にこだわるのもいいですが、遅れると1本も売れなくなりますよ」というか。もちろん、ユーザーにとってベストのタイミングで最高の傘を届けられるのが理想ですが、傘をつくることに重きを置きすぎて雨が降ったタイミングを逃しては意味がないですから。

――なるほど、Webと紙それぞれの特性を意識したマネジメントが重要なのですね。

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マネたま編集部
「現場視点から考えると、マネジメントがもっとオモシロクなる」をコンセプトに、マネジメントに関する情報を発信していきます。