2016/11/21 公開

【前編】最大約2億PV!「ウォーカープラス」浅野編集長の大切にしている言葉とは?

思い出す言葉

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「一流のプロが集まってできた仕事を、まとめあげて形にする。そして読者に届ける。その仕事は、編集者にしかできない」

SEO対策を徹底し、巨大サイトに成長

――月間最大、およそ1億9,300万PV。不勉強ながら、ウォーカープラスさんの媒体資料を拝見して驚きました。国内有数の巨大サイトなのですね。

浅野祐介(以下、浅野) そうですね。サイトの立ち上げは2000年ですが、2012年7月から、データベースを活用してSEO対策をすごく突き詰めてきたんです。当時はまだ自分はメンバーではなかったですが、今のスタイルになったのは2012年7月以降ですね。

――実際、「東京 イベント」「GW イベント」といった巨大な検索クエリでことごとく1位もしくは2位です。

浅野 最近こそ競合サイトが増えているのですが、当時はそうしたサイトが数える程度しかありませんでした。いち早く、Webでの情報発信に手を付けられたことも大きいかもしれませんね。ウチにはすでに『東京ウォーカー』という雑誌があったので、この媒体とリンクさせたサイトを企画。おでかけ先の情報をデータベース化し、トレンドとなるキーワードをかけ合わせ、検索上位を取っていく戦略で進めてきました。

――毎月1,500本という記事本数は、どうやって編集されているんですか?

浅野 そこは、紙媒体時代からある体制を生かしています。すでに各編集部と、それにひもづくフリーの方々という体制があったので。もっとも、業務量は確かに多いですよ。取り扱うジャンルがとにかく多いですし、届くリリースの量も並大抵ではありません。そうした膨大な素材を記事化していくことを繰り返した結果、いまのサイトができあがりました。

――その成果の一つが、月間1億9,300万PVという数字につながったのですね。

浅野 数字だけみると、東洋経済オンラインさんと同じぐらいでしょうか。ただ、現状のSEOコンテンツは季節変動が激しいという弱点があります。一番アクセスがあるのは夏の花火の時期で、その次に紅葉のシーズン、続いてお花見シーズンです。逆に、寒い時期にアクセスが下がるという傾向があります。今年は早めに寒くなったので、その分打撃を受けていますね(苦笑)。

あとは、アクセスしたユーザーに『このサイトはウォーカープラスだ』と認知されづらいという問題もありました。検索流入の多いサイト構成上、ピンポイントの情報だけを得て満足するユーザーの方も多いので、どうしてもそうなってしまうんです。そうしたPV数と認知のギャップを埋める意味でも、ウォーカープラスの編集部がしっかりと編集した質の高いコンテンツをきちんと出していこうとしています。

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浅野祐介(あさの・ゆうすけ)
1976年茨城県生まれ。KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンでサッカー誌『ワールドサッカーキング』、サッカーサイト『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長としてウォーカー系のメディア事業を担当。

“紙”から“Web”へ移る編集者を待つ困難とは?

――なるほど。ところで、浅野さんがウォーカープラスに加入される以前は、編集者はいなかったのでしょうか?

浅野 いえ、いなかったわけではないです。ただ、編集者がガッツリ作りこんでいくコンテンツの出し方はしていなかったんです。最近はWeb媒体が主流になっていますから、媒体としての存在意義をどう出すか考え、『東京ウォーカー』など雑誌の編集者がウォーカープラスのコンテンツをともに作る流れができています。

――紙媒体とWeb媒体とでは、作業工程がかなり異なる部分もあります。編集者として、対応することが難しい人もいるのではないでしょうか? うまくハマる人と、そうでない人とで二極化しているというか。

浅野 それはあると思います。

――どういう部分で戸惑われる人が多いですか?

浅野 うーん、当然自分もその道は通りましたが、肌感としては、純粋に食わず嫌いが大きいと思いますね。例えばKPIとかPDCA、あるいはCMSといったフレーズに対して。実際に使う手前で「何か違う」と引いてしまう人は多いような気がします。

そういう人に対しては、2つのアドバイスをしています。1つは、「編集者として、わからないことは一定レベルまで理解する努力をしよう」ということです。紙からWebに変わったなら、その仕組みは勉強する必要があります。雑誌の作業工程を通ったからこそ、雑誌の仕組みについて深く理解できたように。もう1つは、「怖がらなくていい」ということ。いらない恐怖感を取り除くことが大切ですね。

――恐怖感と言いますと?

浅野 食わず嫌いにもひも付くのですが、必要以上に「違い」を意識してしまっているところです。ユーザーに最適なコンテンツを届ける、という意味では大きな違いはありませんし、違う点と言えば、最適なタイミングがよりピンポイントになる部分だと思います。Webの仕組みを理解する必要はあるので、そのための努力はプロとしてしましょう、と。

「これだけ紙媒体に接してきたんだから、1~2年離れたぐらいで作り方を忘れたりしませんよ」という言い方をしています。僕も忘れていないですし(笑)。そういう意味で、僕は恵まれていたかもしれません。前職では『サッカーキング』というサイトに立ち上げ期から関わっていたのですが、自分がやらないと何も動かない環境でしたから。

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すべて手探りで始まった『サッカーキング』

――前職『サッカーキング』のお話が出ましたので、改めて当時のお話を伺わせてください。

浅野 立ち上げ当時は、とにかく手探りでしたね。CMSをどう作るのかから始まり、ニュースを書くと決め、それには人手と工数が必要だからこうしようとか。とにかく、最初からすべて決めていく必要がありました。ただ、予算も少なく、担当者は僕ともう1人の社員がいるぐらい。プログラミングができる人間もいませんでした。

そこで、外部にいるサッカー好きの方々にレベニューシェアで仕事をお願いし、サイトを一緒に構築していきました。また、最初は自分たちでコンテンツを作っていたのですが、それだけではなかなか数字も伸びていきません。そこでニュース記事のアウトソース化をはじめ様々な施策を打ち、効率よく記事を作る体制を確立するとともに、Yahoo!さんをはじめ、外部配信先を開拓し、記事を配信して広く読まれる体制を整えていきました。

また、ニュース記事を作る上で、かなり細かい作業工程表も作成しました。例えば、ネタを探すのに何分かかるか、写真をピックアップするのに何分かかるか、そういう細かい部分まで10何項目かの工程表に落とし込んだんです。すると、だいたい最適で作れる本数が見えてくるんですね。

――なるほど。

浅野 ニュース記事の作成って、紙・Webにかかわらず、コンテンツの中でも一番時間が読みやすい作業だと思います。1本あたりの時間、PVに対しての売り上げという部分で。『サッカーキング』立ち上げの月はそれでも月間19万PVという数値を出して怒られた記憶がありますが(苦笑)、最終的には月間3,000万PVのサイトに成長しました。その手法は、ウォーカープラスでもより生かしていこうと考えています。

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