2017/02/21 公開

「大人が子どもに寄り添える社会」・キッズカラーが目指す「子どもに失礼のない社会」とは?

「働く女性」の未来像

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ふっと子どもの頃が蘇る瞬間が増えていけば、もっともっと子どもに失礼のない、大人と子どもが対等な環境が形作られていくんじゃないかなと思っています

疲れている保育士の先生たち。そんな環境を変えたかった。

――雨宮さんは起業される前に保育士として働かれていたということですが、どうして保育士を志されたのですか?

雨宮みなみ(以下、雨宮) 保育士を志したのは、中学生の時の職業体験がきっかけでした。たまたま保育園に行かせてもらったんですけれど、その時に子どもたちと触れ合う機会がありました。もともと子どもが好きというのもありましたが、「こんなに自分が自然と笑顔でいられる職業があるんだ」と思ったのがきっかけです。その後も自分で保育園に電話をして、遊びに行かせてもらうこともありました。今思うと、よくブレずにそのまま突き進んだなと(笑)。よっぽど好きだったんだと思います。

――なるほど。その後まっすぐに保育士になられたと。
 
雨宮 そうですね。でもボランティアで遊びに行かせてもらうのと、働くのは全然違いました。特に新卒1年目は、皆さんそうだと思うんですが、もうとにかく毎日必死で、ついていくことで精いっぱいで。「楽しいな」と思えることばかりじゃないことはもちろんわかっていたつもりですけど。勉強ばかりの毎日でした(笑)。

そんな中で1番楽しかったのは、子どもと共鳴する瞬間でした。「今日はちょっと冒険して、新しい公園探しに行っちゃおうか!」とか、「まだお昼寝の時間だけど、もう起きちゃったし遊んじゃえ!」とか、ちょっと一緒にハメをはずしてみたりとか。その時子どもたちがやりたいことを、どちらから引っ張るわけでもなくゲラゲラ一緒に楽しんだり、ちょうど想いが重なる瞬間があって、それがすごく楽しかったなと思います。

その反面で辛かったことは、やっぱり毎日が忙しい分、余裕がなくて。子どもにじっくり丁寧に寄り添う理想の保育と日々の慌ただしさの中で葛藤していたことでしょうか。めまぐるしく変化する毎日のなかで、本当にどっぷり保育に浸っていました。でも今思えば、充実していたな、と思いますね。

――「想いが重なる瞬間」って素敵です! では、当時実際に保育士として働かれていて感じた保育業界ならではの「課題」などはありましたか?
 
雨宮 私自身もそうでしたが、なかなか余裕がなくて、先生たちがみんな疲れていたことですね。保育士は神経も体力も使う仕事です。疲れは目に見える形で表れやすいもの。子どものそばにいる大人が疲れすぎていたら、子どもに与える影響も大きい。そこの部分をどうにかできないかと考えていました。

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雨宮みなみ
1986年神奈川県生まれ。中学生の頃から目指していた保育士資格を取得後、20歳から複数の保育園を通して6年間子どもに携わる。
現場での経験を生かし、保育や子育てに繋がる遊び情報サイト[ほいくる]をスタート。2010年に法人化。現在、ほいくるWebサイトは、全国の保育所保育士の6割以上が利用している。4月19日を「みんなの保育の日」として記念日を制定し、保育業界の様々な会社を巻き込みイベントを開催。プライベートでは、2014年に第1子を出産。
保育や子育てに繋がる遊び情報サイト[ほいくる]
https://hoiclue.jp/

「子育て」を支える保育士さんを支援したい

――その時感じられた「課題」が起業へとつながったのでしょうか。
 
雨宮 そうですね。子育て支援は当時からたくさんありましたが、保育士さんを支えるサービスは当時あまりありませんでした。子育てをする中で、保育園や保育士さんに頼る部分はすごく大きいのに、それを支えるものがないことはかなりまずいんじゃないかと感じていました。

だから、現場から見て「こんなものがあったらいいな」を形にしてみようという、「アイディア」が最初ですね。そういった想いが起業に至るきっかけです。ただそれを、「どういう風に形にするか」という部分はまだ漠然としていました。

――最初から「会社を立ち上げよう!」というわけではなかったのですね。
 
雨宮 私は何十年も保育士をやっていたわけではありません。むしろ、まだまだ学ぶことの方が多くありました。だから「保育士支援」というのはおこがましいですが、現場のリアルな感覚で「こういうのあったら面白いのに」を形にするのはできるかもしれないと思って。

まず「ほいくる」に至るアイディアを書き出して、できるところから少しずつ、サイトを作っていきました。その後にそれをどういう風に運営していこうかと考えたことが起業の始まりです。当時を振り返ると、きっと戸惑いや不安もあったと思うんですけれど、「起業」について色々わからなかったからこそ飛び込めたんだと思いますね。

――「ほいくる」は「遊び」を「レシピ化」する視点が非常に新鮮でした。
 
雨宮 遊びには答えや絶対的なルールはないと思うんです。だから、レシピといっても何通りもある。たとえば糸電話ひとつとっても、「糸を長くしたらどうなるか」とか、「糸の素材を変えてみたらどうなるか」とか、「回線を増やしたらどうなるか」とか、幅広くいろんな風に遊べますよね。明確な答えはありませんが、「こんな遊び方もある」とどんどん広がっていく感覚を共有できたら面白いなと感じて、「遊びのプラットフォーム」を作ろうと思いました。

――室内でも屋外でも遊びの時間は長く取られていますね。
 
雨宮 保育園って1日を通して遊びの占める割合がすごく多いですよね。ご飯とおやつと昼寝以外はずっと遊んでるんじゃないかな? そして遊びの中で、子どもはどんどん成長していきます。遊びの環境が広ければ広いほどいろんな体験や探究心が生まれるかもしれないのに、先生が持っている遊びの視点や情報が少ないと、知らず知らずのうちに子どもたちの遊びの環境って狭まっちゃうこともあると思って。

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雨宮 でも遊びの知識や経験が広ければ、その分幅広い環境の中で子どもって育つだろうなと思います。遊びの幅の大きさは、子どもたちの育ちにも大きく関わってきますよね。私だって知らない遊びはまだまだあるし、遊びを共有することで視野を広げ、子どもとの関わり方がより柔軟に、保育がより楽しくなるかも……というところから、遊びのプラットフォームを作るところに繋がっています。

――アプリだけでなく実際にお子さんを呼ぶイベント「コドモガラクタラボ」も運営されていらっしゃいます。
 
雨宮 「ほいくる」でいろんな遊びを紹介しているんですけれども、保育園を運営しているわけではないので、実際に子どもたちと関わる機会がないんですね。なので、「果たしてほいくるに掲載している遊びは、子どもたちにとって本当に楽しいものだろうか?」という問いかけを常にするようにしていて…。

大人よがりの、大人視点の記事にしたくない。もっと子どもたちのそばから発信される、楽しめる遊びを掲載したい。だから、「子どもと触れ合える機会をもっと作ろう」という目的のもと、月に2回、キッズカラーのオフィスで「コドモガラクタラボ」を始めました。

実際に始めて子どもたちと関わる中で「そんな発想があったのか!」「こういうふうにして遊びって広がっていくんだ」と学んだり、発見することがたくさんあります。子どもたちが考えた遊びを記事として書いて紹介したりとか、私たちも色々と学びながらやっていますね。

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