2016/02/15 公開

30歳で新卒だっていいじゃない。新卒一括採用の旧習に埋もれた逸材を発掘しよう!

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以前、リクルートが打ち出した新たな採用の取り組みが話題を呼びました。それは、「自社の新卒採用の対象年齢を30歳以下に定める」というものです。

これまで日本の新卒採用では、新卒者のみが対象とされてきました。このことは、応募者側から見れば、大学を卒業してしまったら最後、新卒採用枠にチャレンジする権利さえ失うことを意味します。いつしか「新卒ブランド」という言葉が登場し、就職のために留年を選ぶ「就職留年」という選択肢も広まりました。

このようなナンセンスな道に学生たちを追い込んでしまうのも、新卒一括採用が生む弊害と言えるでしょう。また、「学業に専念すればするほど就職活動に時間を割くことができず、就職できない可能性が高まる」といった、大学の社会的意義さえ問われても仕方がない事態も招いてしまっています。

高学歴ニートも増加している今の社会状況下において、リクルートが固定概念を打ち破ったインパクトの大きさは、「新卒一括採用って、やっぱりおかしいよね?」という潜在的な声の多さを物語っているようにも思えます。

就職活動を忘れるほど何かに打ち込んだ人間は「金の卵」かも?

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リクルートが打ち出した「自社の新卒採用の対象年齢を30歳以下に定める」という取り組みは、リクルートホールディングス IT人材統括室の夏目和樹さんが企画したものですが、このアイデアが生まれたのは、ひとりの友人がきっかけだったそうです。

僕はいまシェアハウスをしていて、そこで一緒に住んでいる松井くんという友達です。その松井くんは京大を卒業したんですよ。そして「でんぱ組」推しのアイドル好きです。好きな曲は「でんでんぱっしょん」です。

彼はすごく優秀なんですけどニートです。何でかというと「勉強してたら卒業してしまった」と言っていて、新卒で入る会社がなくて困っているんです。就職しようとしても「業務経験3年以上」とかに引っかかって応募もできない。採用の枠組みから「浮いちゃってる」感じなんです。

めちゃくちゃ優秀なんですけど、浪人、留年してるから年齢も上になってしまっている。

(出典:http://logmi.jp/68388

先ほど述べた、「学業に専念すればするほど就職活動に時間を割くことができず、就職できない可能性が高まる」に当てはまる典型的な事例です。夏目さんは、そんな「松井くん」を見て、「彼みたいな人って、もっといるんじゃないのかな?と思った」と言います。企業は「新卒のみ」という条件を取っ払うだけで、「松井くん」のような優秀な人材と出会える確率が間違いなくアップするでしょう。

それに、「勉強してたら卒業してしまった」というほど周囲の動向を気にせず、目の前のことに打ち込めるタイプの人間は、活用次第で凄まじいパフォーマンスを発揮しそうです。例えば、技術系をはじめ、市場分析やリサーチなどのポジションが考えられます。

個性豊かな人材を適材適所に配置し、組織の力を最大化させることができるかどうかは人事の腕の見せ所と言えるでしょう。その采配の妙こそ、人事の醍醐味かもしれません。

「個を生かす文化」を築けなければ優秀な人材を確保できない

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また、リクルートが自社採用に革命を起こすまでに至ったプロセスからも学べることがあります。というのも、夏目さんいわく、「リリース前までは直属の上司以外には知らせずに進めた」とのこと。

ギリギリで「もう出ちゃいますから」と言えばいいかなと思ってずっと黙ってました。上長だけには言っておいて、企画を聞かれそうな他部署との定例会議は逃げる、お腹痛いとか適当なことを言って。

(出典:http://logmi.jp/68388

そんな夏目さんは自身をこのように評しています。

僕は仕事ができないんですよ。まじで。社内調整とかしてる最中にメールの返信をしなくなっちゃうし、エクセルの数字も桁を3つ間違えて怒られたりしていて。100万円が10億円。

(出典:http://logmi.jp/68388

しかし、かつてない企画を実現させてしまうパワーがありました。そのことを見通していたのでしょう。夏目さんの上司である倉増泰葉さんは、別のインタビューでこう答えています。

夏目は無理にやらせてもやらないタイプの人間だとわかっていたので、彼のやる気をさまたげている障壁は一体何なのかを考えるようにしました。面白いことをやりたいとは思っているし、実行する能力があることはわかっていたので、「何がやりたいの?」ということを聞いていましたね。怒ってもやらないですからね(笑)。

無理矢理やらせても、今回のような企画は考えなかったと思いますし。それよりも自由にやりたい企画をやってもらいたいと考えていました。

(出典:http://blogos.com/article/121014/?p=1

このように、リクルートに「個を生かす文化」が根づいているからこそ、夏目和樹という人材を生かし、世の中をリードするような提言を行うことができたのです。もし、「そんな考え方や仕事の進め方は非常識だ」などという意見が大半を占め、夏目さんの個性や魅力が潰されてしまうような風土の組織であれば、今回の企画は泡となって消えていたでしょう。

そうなると、ここからは妄想ですが、夏目さんは別の会社でこの企画を実現したかもしれません。もはや「個を生かす文化」を築くことができなければ、優秀な人材を確保していくのは難しい時代になっているのです。

「常識や固定観念にとらわれない」。人事発のメッセージで組織活性化に貢献

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本来、採用活動において、新卒か否かということはそれほど重要な意味を持たないはずです。しかし、いわば風習化していることで、思考停止のままに「新卒一括採用」を続けているのが正直なところではないでしょうか?

もしかしたら「逸材」かもしれない人材を、ただ「既卒だから」という理由だけで足切りしてしまうのは、知らぬまに甚大な損失を被る可能性があります。

リクルートにならって、「新卒一括採用の旧習に埋もれた逸材」の発掘に乗り出してみませんか?この取り組みは「常識や固定観念にとらわれない」という強烈なメッセージとなり、採用活動にとどまらず、あらゆる面で組織を活性化させることにもつながることでしょう

参考:ログミー『「30歳以下は誰でも新卒です」 リクルートが始めた新しい新卒採用の仕組みとは? 人事担当・夏目和樹氏が狙いを語る
参考:BLOGOS『リクルート「30歳以下は誰でも新卒採用」の裏側──上司は強制しない、大枠OKで突き進む』

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マネたま編集部
「現場視点から考えると、マネジメントがもっとオモシロクなる」をコンセプトに、マネジメントに関する情報を発信していきます。